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● 尾牙(忘年会)の由来
台湾では旧正月前に行う忘年会を「尾牙(ウェイヤー)」と呼びます。
何故「尾牙」と呼ぶのかの由来は、以下の通りです。
台湾の商売人は「土地公(土地の神様)」を信仰している人が多く、旧暦の2月2日は土地公の誕生日であり、「頭牙」と言います。
その後は毎月旧暦の2日と16日に土地公に商売繁盛の「拝拝(お参り)」をするのですが、この儀式を「做牙」と呼びます。
ですから年の最後(旧暦12月16日)の拝拝を「尾牙」と呼ぶのです。
商売人は「尾牙」の時は土地公に1年の感謝を込めて沢山の捧げ物をします。
あまりにも多くの捧げ物をするため、「拝拝」が終わった後、社長は捧げ物を自分達で食べきれないため、それを従業員に振る舞う習慣が忘年会として定着したと言われています。
● 緊張感のある尾牙
上記でご紹介の様に「尾牙」は社長が土地公に感謝をするのに加え、従業員にも1年間の労をねぎらう意味があります。
…が、もう一つ恐ろしい意味も隠されているのです。
古来より尾牙の時は必ず「白斬鶏(蒸し鶏)」という料理が振る舞われます。
しかし、社長にこの料理の鶏の頭を向けられた従業員は「年明け以降は出勤に及ばず」との暗示であり、現在の「指名解雇宣告」に該当します。
なぜこの様な方法を採るかと言うと、台湾人は情に厚く直接本人には伝えにくいからだと言われています。
従業員に余計な不安を与えない様に「尾牙」をやめて「頭牙」(既に年が明けているので解雇は無い)として新年会を祝う企業もあるほどです。
現在ではこのような習慣は薄れていますが、経営者の方は誤解を招きますのであまり鶏料理を動かさない方が賢明かもしれません。
● 尾牙に関する情報
尾牙の資金はどこから捻出されていますか?
50人以上の企業で職工福利金委員会を設けている企業では職工福利金の中から捻出されている企業が多いのですが、これは厳密に言えば法律違反となります。
労工委員会の公告によると、「尾牙は経営者が従業員をねぎらう目的で行うものであり、従業員からの拠出が含まれる職工福利金を活用してはならない」となっています。
ですから原則として尾牙は社長のポケットマネーか会社の運営資金から捻出する必要があるのです。
ワイズコンサルティング 吉本康志