記事番号:T00000012
● 将来への投資は節税になる?
企業の責務として「納税」は不可欠であり、脱税は罪となります。
しかし、台湾の税制上は将来への投資については営利所得税(法人税)からの控除が認められています。
これらの租税優遇制度をうまく活用する事により、将来への投資を行ない企業競争力を高めながら合法的に当期未処分利益を増やす事が可能となります。
● 事例:人材育成への投資
M社の現地法人、台湾M社の宮本総経理は夜空にそびえる101ビルを見ながら、考えていた…
M社の属する業界では、今年はここ数年来最高の好景気で、台湾M社も過去最高益を記録した。
しかし、これは経営環境によるものであり、台湾M社の企業努力ではなかった。
2年後には市場が飽和し、競合のシェアを奪わない限りは業績が伸びない事は明確であったのだ…
宮本総経理は1年半前の台湾赴任以来、幾つもの経営改革を実施してきたが、全て完成度は低くまだ効果が現れているとはいえなかったのだ。
経営改革の完成度が低い原因は明確であった。
台湾M社の幹部達が戦略を理解しきれていないのである。
文化の違いなのか、幹部の理解度が低いのかはわからないが、日本のM社で働く社員ならそれほど難しくはない内容なのだが、台湾M社の幹部達には伝わらないのである。
宮本総経理は、明日にでも先日セミナーに参加して知り合ったコンサルタントに相談してみようと決め、総経理室の明かりを消した…
● 解説
何か新しい事を行なう為には、戦略と共に組織への理解と浸透が不可欠です。
日本人経営者が新戦略を掲げて実行しても、思ったほど進まない原因の多くは幹部や社員の戦略理解力不足が原因です。
我々がコンサルティングを行なう際も、多くは戦略立案中に戦略実行部隊への研修を同時進行で行ないます。
そうしなければ、強力な戦略を創りだしたとしても、それを理解し実行する実施部隊のスキルが伴わなく戦略の実現はあり得ないのです。
また、台湾の促進産業昇級条例には将来の投資について様々な租税優遇があります。
人材訓練についても同様で、従業員育成による訓練費は営利所得税(法人税)から30~50%の控除が可能です。(詳細はご利用の会計士にお問い合わせ下さい)
儲かった利益を単に税金として納めるだけでなく、出た利益を研究開発や人材育成等の将来投資を行ない、競争力を高めながら合理的に節税するのも優秀な経営者の判断ではないでしょうか?
ワイズコンサルティング 吉本康志