記事番号:T00102770
本コラムは織田信長の変革を引用し、ワイズコンサルティング・グループのDX事例を紹介しています。皆様のDXのヒントに繋がれば幸いです。
戦国の魔王と恐れられた織田信長は生涯の戦いで59勝15敗8分けと7割2分の勝率になるそうです。
ちなみに信長より勝率の良かった大名は、1位毛利元就、2位長宗我部元親、3位豊臣秀吉(朝鮮出兵を含む)、4位島津義弘、5位武田信玄となっています。
信長は結構な負けが有るものの、負ける時は早期に退却し被害を最小限に抑えながら勝てる戦いには確実に勝ってきていることがわかります。
信長の戦い方の特徴として「桶狭間の戦い」以外はほぼ数的に圧倒的優位で戦っていますが、その他の特徴として「新兵器の積極的活用」があります。
「長篠の戦い」では「鉄砲隊の三段撃ち」で当時最強であった武田の騎馬隊に勝利しています。
「第1次木津川口の海戦」では毛利水軍の焙烙火矢(ほうろくひや)で敗戦した後、信長の「燃えない船を作る」「大砲を船に乗せる」と誰もが考えもつかなかった方法で「第2次木津川口の海戦」で勝利します。
私が歴史を学んだ頃と違い現在では「長篠の鉄砲隊三段撃ちは無かった」「鉄甲船は無かった」等の説もありますが、ここでは戦国ロマンを追い求めて全て有ったという前提で進めさせて頂きます<(_ _)>
信長は新兵器の導入により戦国時代の戦い方の変革(トランスフォーメーション)を行なってきました。
「長篠の戦い」以前でも鉄砲は使われていましたが、組織だった活用を行うことで「強い軍隊には強力な騎馬隊が必要」というそれまでの常識から「強い軍隊には組織された鉄砲隊が必要」という戦いのゲームチェンジを行ないました。
木津川口の戦いでは「小型船+焙烙火矢」が強い状態から「大型船+大砲」とゲームチェンジを成功させています。
信長は勝利という目的達成の為に新しいものを積極的に取り入れ、どうすれば効果が出るかを思考し練習させています。
ここで重要なのは、強者は現在の戦い方で勝てるのであえてリスクをとって戦い方を変えようとはしません。
トランスフォーメーション(変革)できるのは「弱者の特権」なのです。
ワイズコンサルティングは私が30歳だった1996年に資本金20万元、社員は私と家内の二人で立ち上げた会社です。
経営資源が乏しく、若輩者の私が創業当初に考えていたのし上がりコンセプトは「ITを活用して業界のビジネスモデルを変えて成長する」(今で言うDX)ということでした。 わが社では創業以来、全社員にMacを支給していますが、1996年といえばWindows95が世に出て1年後で、当時はまだまだパソコンが活用されていない時代です。
弱者であるわが社が、歴史が有り経営資源の豊富な強者(世界中のコンサル企業)と戦い伸し上がるには、強者がまだ積極的に行なっていないIT活用に活路を見出していたのです。
わが社最初のDXのテーマは「IT活用によりコンサルティング活動か営業活動のどちらかをゼロにする」でした。
最初の頃は9~18時のオンタイムに営業とコンサルの両方をしていたのですが、日本に比べコンサルティングフィーが低い台湾では数をこなさなければ経営が成り立ちません。
そこで上述のDXテーマを考えついたのですが、第一段階として「費用を掛けずに営業活動をゼロにする方法」に挑戦することにしました。
まずは他社に先駆けて自社HPを作成してみましたが、当然誰も見に来てくれません。
次にSEOの強化を行い、YahooとGoogleのどちらでも「コンサルタント」「コンサルティング」で検索すると1ページ目は全てワイズHPが掲載されるという状態にしました(当時なので可能だった)が、引き合いは全くありませんでした。
その次に行なったことは「台湾ビジネスに関するコラム」を執筆し、HPに掲載する他、ブログやメールマガジンにも掲載する現在で言う「コンテンツマーケティング」を行いました。
これは少しづつ効果に繋がり、知名度の向上とともに引き合いを頂けるようになってきました。
ただしコラムは知識や経験が無いと書けないので、私でなくてもコンテンツマーケティングができる方法を模索しました。
法律を翻訳するだけでコンテンツマーケティングができる「労務顧問会員」、ニュース記事をまとめ裏を取り掲載する「ワイズニュース」、オリジナル調査データーの一部を掲載する「ワイズリサーチ」へとわが社のコンテンツマーケティングは現在も発展を遂げています。
現在DXという経営コンセプトが流行っていますが、ワイズでは25年以上前から挑戦し続けています。
DXだけではなく「コンテンツマーケティング」「デジタルマーケティング」「サブスク型ビジネスモデル」等も流行となる遥か前から行なっています。
これは私が特別先見性に長けていたわけではありません。
経営コンセプトは最近の成功事例の共通点を学者やコンサルタント達が「後からまとめた」もので、熱心な経営者にとっては既にやっているコトが多いのです。
さてDXを行う上で大切なポイントは「経営者が何をDXしたいのか?」を自ら考えることです。
ワイズの場合は「費用を掛けずに営業活動をゼロにする」為にITを活用しました。
「何をしたいか?」というコンセプトメイキングはボトムアップで出来るものではなく、トップダウンで行うべきものなのです。
吉本康志
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