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【はじめに:いよいよ来月だ!】
こんにちは。ワイズリサーチの段です。春節、あけましておめでとうございます。
春節期間中、頼清徳総統や蕭美琴副総統が挨拶回りで着ていた「Taiwan」パーカーのニュースを、ご覧になりましたでしょうか?あるいは街中で多くの人が着ているベースボールジャケット。そこに刻まれた文字こそが、今回のテーマ「Team Taiwan(チーム台湾)」です。
なぜ今、この言葉を取り上げるのか。来月(2026年3月)に迫ったWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に向け、この言葉の熱量がかつてなく高まっているからです。皆様に知っていただきたいのは、これが単なるスポーツの応援スローガンではないということです。今の台湾の「ビジネスと台湾人の心」を読み解く、最強のパスワードなのです。
■台湾版「侍ジャパン」の熱狂
台湾と日本が最も熱く語り合える共通の話題といえば、間違いなく「野球」です。日本の「侍ジャパン」と同様、台湾の国家代表チームの代名詞がまさに「Team Taiwan」です。
普段は政治的立場や世代間で多様な意見を持つ台湾の人々も、国際試合となれば話は別。特に前回の「世界野球プレミア12」での歴史的快挙を経て、台湾全土がこのロゴのもとにまとまる一体感は凄まじいものがあります。
先日、2024年プレミア12での「Team Taiwan」の奇跡を描いた話題作『冠軍之路(HERO!HITO!)』へ、筆者も母を連れて映画館へ足を運びました。館内は老若男女問わず満席となり、改めてこのムーブメントが世代を超えた社会現象だと肌で感じました。来月のWBC開幕に向け、スタジアムや居酒屋、オフィスの雑談でもこの言葉が飛び交うでしょう。日本の駐在員の皆様にとって、「今年のWBC、Team Taiwanの活躍が楽しみですね!」という一言は、現地の社員や取引先と心の距離を一気に縮める最高のアイスブレイクになります。
ドキュメンタリー映画『冠軍之路』を母と鑑賞
■「Team Taiwan」=「挺台湾」
なぜ「Team Taiwan」は、スポーツの枠を超え社会現象にまでなったのでしょうか。実は台湾のコミュニケーション文化に根付く「絶妙な言葉遊び(ダジャレ)」が関係しています。
「Team Taiwan」を台湾の言葉のニュアンスで発音すると、「挺台灣(ティン・タイワン)」という言葉に非常に似ています。「挺(ティン)」とは、「支持する、応援する、味方になる」という意味を持つ力強い動詞です。
つまり、ただの名詞「台湾チーム」が、発音のトリックで「台湾を応援しようぜ!」というアクションに変換されるのです。日本で言えば、自国に対する壮大な「推し活」。このキャッチーな言葉遊びが若者の心に火をつけ、関連グッズが飛ぶように売れるトレンドを生みました。
■ビジネス界の「オール台湾」
さらに視点を変えると、この言葉はビジネスや経済の文脈でも頻繁に使われています。日本でも産官学が連携して国際競争に挑む際「オールジャパン」と言いますが、台湾の「Team Taiwan」はまさにその概念です。
かつての台湾企業は、海外ブランドの優秀な下請け(OEM、相手先ブランドによる生産)として、個別に競争を繰り広げていました。しかし現在、台湾積体電路製造(TSMC)を筆頭とする半導体産業や、世界を席巻するAIサーバーのサプライチェーンにおいて、台湾企業はもはや単独では動いていません。
強固なネットワークと技術力を持ち寄り、一つの巨大な「チーム」として世界市場で戦っています。実際に日本のIT展示会でも、台湾企業が合同で「サイバーセキュリティ チーム台湾」として出展し話題を呼びました。
日系企業が協業を模索する際、「彼らは単独の企業ではなく、Team Taiwanという強力なエコシステムの一部である」と理解しておくことは、極めて重要なビジネスインサイトとなります。

■「台湾プライド」という共通言語
Team Taiwanのムーブメントは、近年急速に高まっている「台湾プライド(台湾人としての誇り)」の象徴でもあります。複雑な国際情勢の中、人々は「自分たちは同じ船に乗るチームメイトだ」という連帯感を求めています。
前回のコラムで紹介した「Threadsのデジタル互助会」(https://www.ys-consulting.com.tw/column/126939.html)のようにお節介で温かい国民性が、リアルな社会では「Team Taiwan」という言葉に集約されているのです。
いよいよ来月、WBCの熱狂とともに台湾は再び「Team Taiwan」一色に染まります。今の台湾の「リアル」に触れたいなら、ぜひ現地の熱気の中に飛び込み、彼らと一緒にこの言葉を口にしてみてください。そこには、したたかで、温かく、そして団結力に溢れた台湾の本当の姿があるはずです。
それでは、次回のトレンド観測でお会いしましょう。
段婉婷
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