記事番号:T00128693
皆様、こんにちは。経営者の「思考時間」をサポートするワイズ独自調査コラムです。「主要都市発展シリーズ」の第2弾は、台湾を現在の「世界的IT立国」へと押し上げた最大の功労者であり、台湾経済の心臓部である「新竹」に迫ります。
国策が生んだ最強の「新竹科学園区」
1980年代に政府主導で設立された「新竹科学園区(竹科)」は、台湾半導体産業の発祥地です。近年、最先端の巨大工場は用地を求めて中南部(台中・高雄など)へと南下していますが、新竹は依然として「研究開発(R&D)と設備・材料の集積地」として絶対的な地位を確立しています。
特に半導体設備産業においては、前工程(拡散・検査)から後工程(パッケージング・テスティング)に至るまで、川上から川下までのサプライチェーンが完全に整っており、台湾半導体産業全体において、依然として欠かすことのできない最重要拠点として君臨しています。
「産・学・研」の強固な連携が生むイノベーション
新竹最大の強みは、単なる工場地帯ではなく「頭脳の集積地」である点です。サイエンスパークの近隣には、台湾トップクラスの理系大学である国立清華大学や国立陽明交通大学が存在します。さらに、工業技術研究院(工研院、ITRI)や台湾半導体研究中心(TSRI)、国家高速網路計算センターなどの国家級の研究機関が密集しており、「産・学・研」が極めて緊密に連携する最強のエコシステムが構築されています。この環境が、絶え間ない技術革新と優秀な人材の継続的な供給を可能にしています。
用地飽和の壁と次世代産業へのシフト
半導体産業を中心とする新竹エリアの企業総数は3万社を超え、就業者の過半数(52%)が製造業に従事する巨大な産業都市です。しかし、その圧倒的な成功ゆえに「深刻な用地飽和」という次なる壁にも直面しています。
現在、新竹では古い施設を再利用する再生計画が進められると同時に、新竹(竹北・湖口・新豊)や苗栗(竹南)へとクラスターが拡張しています。特に、従来の半導体・ICT産業だけでなく、生医園区(バイオメディカルサイエンスパーク)やAI智慧園区(AIスマートパーク)などといった「次世代の高付加価値産業」へのシフトも急ピッチで進んでいます。
台湾一の「富裕層」を生み出す竹北現象
ハイテク産業の大成功は、新竹に桁違いの富をもたらしました。図1「台湾主要都市の年間世帯可処分所得」が示す通り、新竹県・市の世帯可処分所得は、過去5年間で20万元(約100万円)以上も急増し、今や首都・台北市と同等の水準にまで成長しています。特に新竹高鉄駅(新幹線駅)を擁する「新竹県竹北市」にはサイエンスパークで働く高所得なエンジニアやエグゼクティブがこぞって移住し、台湾屈指の「IT長者の街(新竹新貴)」を形成しています。周辺には富裕層向けの高級マンションが林立し、桁外れの購買力を持つ消費市場が誕生しているのです。

経営へのヒント:R&D拠点と「超高所得マーケット」の二面性
新竹市場を攻略する上で、企業は2つの視点を持つ必要があります。
1つ目はB2Bの視点です。新竹は製造現場から「R&D・高度設備・次世代技術の中心地」へと役割を高度化させています。単なる部品供給ではなく、研究機関や現地企業との共同開発を提案できる企業にとって、これ以上ないパートナー探しの舞台となります。
2つ目はB2Cの視点です。ハイテク産業がもたらした巨万の富により、新竹高鉄駅を擁する「竹北」エリアなどは台湾で最も世帯所得が高い「IT長者の街」となっています。高級な飲食やホテルなど、プレミアムサービス市場は依然として供給不足であり、巨大なブルーオーシャンが存在します。
次なる投資や事業拡張のターゲットとして、この「最強の頭脳と富が交差する街」をぜひ再評価してみてください。
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