コラム

記事番号:T00001221
2007年6月28日0:00

 今回は前回までとは趣向を変えて、台湾のタクシーを題材に、厳しい競争に面した際の経営戦略、心構えについてお話します。

 大台北地区(台北県市、基隆市を含む)のタクシーは現在6万台に達していて、最近は中南部で仕事がない人が台北でタクシー運転手を始める例も増えており、簡単にできることもあって台数はますます増えています。空車率は極めて高く、このため運転手がまともな収入を得られないことが多くなっているようです。ほとんどの運転手は愚痴をこぼして終わりですが、中には努力とアイディアを絞って成功するケースもあります。


◆企業経営を意識する

 A運転手はお客を乗せた際、時間や走行ルート、得た料金の記録をいつもつけていました。毎晩帰宅するとこれらの記録をコンピューターのエクセルソフトに入れて、過去のデータと比較して分析し、どの時間帯にどこに行けば乗客を容易に見つけられるのか、企業の経営者になったつもりで研究しました。この結果、効率の良い仕事が可能になり、売り上げは大幅にアップしました。

 このケースは、2人の木こりのまき割り競争の話を思い起こさせます。1人は昼夜分かたずまきを割り続け、もう1人は毎晩家に帰ってしっかり斧の手入れをし、結局斧の手入れを怠らなかった方が大勝した──という話です。
 

◆高付加価値を追究する

 B運転手は、私が実際に乗客して利用し、きめ細やかなサービスが気に入ったケースです。弊社では台北市から離れた場所にある企業を訪問することも多いのですが、そうした際、いつもB運転手にお願いすることにしました。

 B運転手は弊社の社員を乗せる前に、その人の特徴や性格、好みの朝食まで同社の営業部員から聞き出して、準備することにしました。背広を着て朝の出発時間の10分前には会社の前で待ち、うやうやしく車のドアを開け、車の中の保温ケースにお客の好みの朝食まで準備しました。「お客の考えつかないことまでやる、『101点』のサービスで差別化を図る」ことをモットーにしたのです。

 顧客管理の記録もつけ、すべてのお客の好みの音楽、好みの食べ物、興味のあることを頭に入れ、誰に対しても専属運転手のようにサービスを尽くしました。こうした仕事ぶりがうわさになってますますお客が増えたため、サービスの標準作業プロセスを作成して他の運転手にも適用。企業的な手法で、サービスの優れたタクシーチームを組織することになりました。


 今回ご紹介したケースは、一般の大企業から見れば取るに足らない例かも知れません。しかし、重要なのは、競争すべき環境に置かれた時に心を砕いて問題解決に取り組めるかどうかです。中国語では音韻を踏んで、「没有不景気、只有不争気(不景気ではなく、頑張らないだけ)」といわれます。必死で考えれば、結果はおのずとついてくるのです。
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