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第44回 サルの例え話(1)


コラム 経営 作成日:2009年6月19日

台湾流経営策略 台湾の経営手法

第44回 サルの例え話(1)

記事番号:T00016093

 
 筆者は弊社ワイズコンサルティングにおける各研修課程で講師を務めています。勤務歴が長く、経験豊富を自認する管理者の皆さまを対象に行う「管理者研修」においては、長々と説明を続ければ聞き手の眠気を誘い、理論に偏れば煩雑なばかりで実質的な成果が上がりません。そこで、管理者の皆さまに、ある考え方や業務に対する姿勢をしっかりと身に付け、運用していただくため、「例え話」を引き合いに出して説明することがよくあります。

 今回は、その例え話の中から「サルの例え話」をご紹介しようと思います。

5匹のサルとバナナの実験
 
 檻の中にサルが5匹入っており、その檻の上には一房のバナナがぶら下がっていた。しかし、実験者はある装置を備え付けており、もしサルがバナナを取ろうとすれば、それを装置が感知し、檻に向かって水が放射され、5匹ともびしょ濡れになってしまうという仕掛けになっていた。
 
 まず一匹のサルがバナナを取ろうと近づいた。するとたちまち装置から水が飛び出し、みんなびしょびしょになってしまった。その後、どのサルが試みても結果は同じだった。
 
 そこでサルたちの意見は一致した。「水に打たれるのは嫌だ!バナナを取るのはやめよう!」

 次に実験者は、5匹のうち1匹を新しいサルと入れ替えた。このサルを仮に「A」とする。「A」は檻の中に入れられると、すぐにバナナをつかみに行こうとし、ほかの4匹から袋だたきにあった。
 
 4匹は、「この新入りのせいで水に濡れるのはごめんだ」考え、「A」がバナナを取りに行こうとするのを制止したのだ。「A」は4匹に殴られながらも何度かチャレンジしたが、バナナには手が届かなかった。このため5匹とも水を浴びることはなかった。
 
 実験者はさらにもう一匹を入れ替え、「B」を檻の中へ送り込んだ。この「B」もバナナを目にするや、これを手に入れようと向かった。その結果やはり他の4匹に厳しい制裁を受けることになった。特にあの「A」は力を込めて殴りつけた(これを「先輩の新入りいびり」という)。「B」も何度もバナナに向かって行ったが、ひどく殴られただけに終わった。
 
 その後、檻の中のサルは一匹ずつ入れ替えられ、とうとう最初いたサルはみんないなくなってしまった。こうして残ったサルたちは殴られるのが嫌で、誰もバナナを取りに行こうとはしなくなった。ただ、どうして殴られるのかは誰も分からないのだった。

「伝統」を見直す
 
 この例え話が言わんとすること、それは「伝統」の作られ方です。
 
 人間がある種の環境的制約を受け、分析や思考能力を欠いたままでいるならば、永遠に新たな解決方法を生み出すことはありません。
 
 管理者の経験というものは、ある場合には業務の助けとなりますが、別の場合には「お荷物」となることもあるのです。
 
 「伝統」とは十分に考察することなくしては無価値なのです。過去にはできなかったことでも、時代が変わった今ならできることもあります。また、過去の成功経験が現在には通用しないということもあります。管理者は、伝統にとらわれて「夜郎自大」とならず、常に自らを省みる姿勢を怠ってはなりません。また部下に伝統的なやり方を強要せず、自主的に多くのアイデアを試す余地を与えれば、さらに大きな利益を生み出す可能性が生まれるのです。
 
 次回は、また別の「サルの例え話」をご紹介しようと思います。
 

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参考:第45回 サルの例え話(2)

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