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第40回 テレビショッピングのマーケティング戦略


コラム 経営 台湾事情 作成日:2009年3月13日

台湾流経営策略 台湾の経営手法

第40回 テレビショッピングのマーケティング戦略

記事番号:T00013997

 
 1分間でダイヤモンド6個、自動車4台の売り上げ、1時間で茶葉5,000斤(1斤=600グラム)、1時間でベッド1,000台の売り上げ。これは夢ではない、テレビショッピングの驚くべき業績だ。台湾のテレビショッピング放送局が2008年に稼ぎ出した売上高は450億台湾元(約1,290億円)、さらに2009年は、世界的不景気の波が押し寄せているにもかかわらず、510億元の売り上げが見込まれている。

 調査によると、テレビショッピングの視聴者が最も興味を抱く商品トップ3は、▽生活用品▽コンピューター▽旅行――で、このほか▽アクセサリー▽周辺商品▽健康食品――なども人気だ。別の調査では、20歳以上の各年齢層で女性のほうがテレビショッピングでの購入意欲が男性よりも高く、特に30~39歳の女性は21.3%、すなわち5人に1人が利用してもよいと考えていることが分かっている。

購入意欲を駆り立てる話術

 従来型販路は、強力かつ有効なマーケティングという点でテレビショッピングにはかなうべくもない。市場価格5万元のネックレスを販売する場合、従来型販路での販売力には一定の限界があるといえる。

 しかしテレビショッピングなら、司会者から「天然真珠を使った、めったにお目にかかれない品。普通に買えば8万元は下らないところを今回は特別に年1回限りの特別奉仕、なんと4万9,800元にてご提供!さらにきょうはメーカー様のご厚意により1万8,000元の○○製腕時計をお付けしてこの価格、本当にお買い得になっております!」という、心動かされる口上がついてくる。

 司会者は真珠を売る際、専門誌を持ち出してその中の商品と比べて安さを強調したり、上品なモデルを使ってデモンストレーションを試みたり、加えて「数量限定」、「料金後払い」、「無利息分割払い」といったうたい文句を並べて購入意欲をあおり立てる。

 さらに、「もう数組売れてしまいました」、「電話が鳴りっぱなし」、「間もなく売り切れ」といった言葉を駆使し、視聴者に「いま買わなければチャンスを逃す」という心理的な圧力を加える。「ご用意させていただいた数量には限りがございます。ご注文はどうかお早めに。残り時間は16分間。電話線が込み合っております、自動音声ガイダンスをご利用ください」――といったふうに。

 絶え間なく映像を流し、音響を効かせ、司会者、モデル、ゲストを総動員して番組を盛り上げるその手法に、ある学者は「一種の催眠術だ。もっと言えば『強迫』的な販売方法だ」と指摘している。

 テレビショッピングはテレビメディアならではの特性を生かし「商品ショー」を展開できる。例えばGPS付スマートフォンを紹介する際は、「運転中に曲がるべき交差点を探す」というシチュエーションを作り出して実演する。また、「落としても大丈夫」という商品の特性を強調したいときはわざと落としてみたり、防水性を持つ商品なら水鉄砲で水を吹き掛けたりして場を盛り上げ、娯楽的効果をかき立てる。

イメージ戦略も駆使

 時にはイメージキャラクターを使ってイメージ戦略を駆使することもある。テレビショッピング最大手の東森購物は数年前、韓流スター、ペ・ヨンジュンをイメージキャラクター「愛心大使」に起用した。「人生の美しく輝かしい思い出」を連想させるペ・ヨンジュンに対し、女性会員の80%以上が「幸せ感」を感じたとされ、同社のイメージアップに大きく貢献した。「テレビショッピングを30分見たなら、もうその魅力から逃れるのは難しい」と語る人もいる。

 テレビショッピングをどのように感じるかは別として、娯楽と販売を組み合わせたこの手法は、メディアマーケティングを学ぶ上で考察価値は十分にあると言えよう。

ワイズコンサルティング 荘建中

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