記事番号:T00000017
●台湾の法人税
台湾の営利事業所得税(日本の法人税に相当)の税率はもともと日本より低く設定されています。
営利事業所得税率はほぼ25%と、未処分利益への10%追加課税を含めても実質30%であり、日本の法人税+住民税+事業税の合算額が40%以上という状況から比べると恵まれています。
しかし、誰でも税金は少しでも安くしたいので、台湾企業は優遇措置等の様々な方法を活用し、税金を安くしようと努力しています。
その結果、優遇措置の多い産業の大手企業では、営利事業所得税をほとんど支払わなくて済む企業もたくさん存在しています。
当然ながら、脱税(違法)はいけない事ですが、必要以上に税金を支払う必要は無いので、節税(合法)は経営者にとって必要な対策です。
●小規模事業の節税策
事例1:飲食業の場合
料理人である手塚氏は3年前に知り合いに誘われて台湾にやってきた。
3年間の契約が切れたのを機に、家族を呼び寄せ、台湾で割烹料理店をはじめた。
当初は利益が出ていなかったので、手塚氏自身の給料も充分に取らず、節約と苦労を続けていたが、今年からマイタウンタイペイに広告を掲載した事も有り、突然売上が増え年商は24百万元までなった。
年間の利益も10百万元となり、毎月預金残高を見るのが楽しみであった。
会計の知識が全く無かった手塚氏は「これまで苦労を掛けたが、自分を信じてついてきてくれた家族にも少しは良い生活をさせてやれる」と、800万元を頭金にし、新しく家を購入したのだった。
しかし、次の年に会計士から送られてきた営利事業所得税の申告書によると、今年の営利事業所得税納税額は249万元にもなるという事だった。
手塚氏は目の前が真っ暗になり、倒れそうになった…
事例2:コンサルティング業の場合
宮本氏は入社以来生産畑を歩み、台湾に工場長として5年間駐在していた。
以前から台湾の知り合いに「うちの工場を見てくれないか」と数社に誘われていたので、日本への帰任命令を機会に早期退職し、台湾でコンサルタント会社を立ち上げた。
社名は自分の名字をとり、「宮本管理顧問公司」とすることにした。
知人の紹介で仕事は有ったので営業活動はしなかったが、以前には記憶にないほど、働くはめになった。
…一年間の努力の結果、宮本氏の会社は10百万円の売上になり、将来の拡大を考えて利益は社内に溜めていたので、税前利益は7百万円となった。
最初の営利事業所得税納付の際に会計士から174万元の納税額になると言われた。
宮本氏は駄目元で「なんとかしろ!」とダダをこねてみたところ、「う~ん、それなら54万元にしましょう。」とあっさり大幅減額になった。
これって脱税?
● 解説
事例1は
「書面審査」という計算方法を選択すると、納税額が249万元から113万元になりますので、手塚氏は130万元以上の節税ができます。
事例2も同様の方法を選択していますが、社名により業種を変える事が可能ですので、脱税ぎりぎりですが上記の節税が可能になります。
「書面審査」とは、売上3千万元以下の小規模事業者用の看做しによる課税計算方法で、業種によって課税される利益率が設定されています。
粗利率の高い小規模ビジネスでは、上手く活用する事で合法的に大幅な節税効果があります。
ワイズコンサルティング 吉本康志