記事番号:T00122248
台湾卜蜂企業は、台湾を代表する食肉加工メーカーです。主に飼料の製造販売、鶏肉、豚肉、鴨肉の畜産を手がけています。飼料、養畜、解体、食品加工まで全て手掛け、それぞれ売上高の3分の1ずつを占めています。
2024年の連結売上高は前年比4.12%減の279億6000万台湾元(約1350億円)で、純利益は14.95%減少の19億3000万元、1株当たり純利益(EPS)は6.55元でした。
■トルコ駐在、シェア首位に
董事長の鄭武樾氏は1936年生まれ。現在88歳で、業界最高齢の董事長です。
台湾卜蜂は1977年、タイ最大のコングロマリット(複合企業)、チャロン・ポカパン(CP)グループ(中国語は正大集団)と合弁で設立されました。タイ側が約4割を出資し、鄭氏は創業メンバーの一人で、最大の個人株主です。
鄭氏は40代でトルコに派遣され、9年の間、駐在しました。トルコ語が話せないにもかかわらず、台湾卜蜂の鶏肉をトルコ市場首位に押し上げました。
トルコ支社や欧州地区総裁、石油化学部門の総裁、執行副社長などを歴任しました。
■広告ゼロでブランド構築
鄭氏の経営は、タイ本社と緊密に連携し、海外のトレンドを積極的に取り入れることにあります。
例えば、日本のインスタント食品(即席食品)に着目し、2018年に台湾でそのまま食べられるサラダチキン(調理済み鶏胸肉)を発売したところ、スポーツをする人やビジネスパーソンに好評で、月12万個売れました。
コロナ禍では、自炊ニーズに着目し、大家族、少人数家庭、単身者にラインアップを広げたほか、バーベキュー味の手羽先、チキンナゲット、豚足など台湾人の味覚に合う商品を開発しました。
今や、1000種類のインスタント食品を年間3000トン製造しています。量も品揃えも台湾の食品メーカーで最多です。
鄭氏は、広告も出さず、展示会にも出展せずに、ブランド力を培ってきたと誇りました。
■一貫生産でコスト6割減
台湾卜蜂は、飼料の製造、養畜、解体、食品加工までを自社で一手に担う垂直統合で、品質を保ちつつ、コストを6割削減しました。
川下で顧客の最終製品の需要が増えれば、川上で増産するため、毎年生産、加工ラインを拡張しています。
市場の需要に柔軟に対応するため、生産能力の拡張や設備の更新に毎年20億元以上を投じています。
2025年の設備投資も20億元の計画です。鶏舎の自動化、コールドチェーン(低温物流)、生産能力の拡大などに充てます。
■高齢者向け健康食品に照準
鄭氏は、健康管理に気を配っており、台北市の自宅にはジムがあります。毎日のウォーキングは1万歩以上、腕振り運動は1000回、腕立て伏せや腹筋も行います。
若いころから運動が好きで、トルコ駐在時代は、サハラ砂漠を走る20キロメートルのマラソンにも参加しました。
運動だけでなく、食生活にも気をつけています。あっさりしたものを好み、弁当を食べるときには、白湯を2杯用意し、こってりと油っぽいおかずを水で洗ってから食べます。
鄭氏は、市場のチャンスとなる次の一手は、高齢者がターゲットだと予測しました。健康こそが時代のニーズで、高齢者向けの健康食品は必ずやると意気込みました。
荘建中
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