記事番号:T00026842
台湾社会では最近、韓国人への批判が高まっています。その導火線となったのは、広州アジア大会の女子テコンドー試合で、台湾代表の楊淑君選手が韓国系フィリピン人審判に失格と判定された上、世界テコンドー連盟(WTF)の韓国人事務総長に不合理な説明を受けたことです。 波仕特線上市調網(Pollster)が20〜21日に実施した「広州アジア大会のテコンドー事件は、韓国製品の購入意欲に影響するか?」というアンケート調査で、ダントツ首位となったのは「絶対に購入意欲が低下する」という回答(58%)でした。
また一部では、韓国の国旗を焼いたり、韓国製の商品を人前で堂々と壊したりと、異常なほどに反韓感情が激化しています。日本人は誰もが韓国のことが好きなのに…とは言いませんが、台湾人のように嫌悪感を爆発させることはないと思います。どうして台湾人はそんなにも韓国を嫌っているのでしょうか?
外交・競技上の摩擦
それは、韓国が1992年に突然、台湾と断交したことが遠因だと思われます。台湾は71年に国連から脱退しましたが、その後も韓国とは外交上、良好な関係を保っていました。ところが韓国は中国からのプレッシャーとその貿易上の大きな商機の誘惑に負けて、92年に台湾と断交し、韓国駐在の大使を追い出したのです。これは台湾人にとって屈辱的な出来事でした。
また近年、さまざま国際競技で勝つためには手段を選ばないような韓国のやり方が目立ち、多くの台湾人の反感を買っています。今回のテコンドー事件だけではなく、89年のアジア野球選手権大会、97年の東アジア競技大会などのスポーツ大会や、ゲームのオリンピックといわれる01年の「ワールド・サイバー・ゲームズ(WCG)」などでも、台湾代表は韓国の不当と感じられる行為に苦しめられました。
インターネットでも大ブーイング
そんな反韓感情は、インターネットの世界でも多く見受けられます。台湾最大の電子掲示板「PTT(批踢踢)」では、韓国を嫌悪する内容のスレッドが続出しています。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)サイト、「フェイスブック(Facebook)」にはアンチ・コリアングループが多数結成されました。台湾ならではの人気ミニブログ、「Plurk」にも「韓国大嫌い」、「もうキムチは食べない」など反韓メッセージが多く見られます。どうやら台湾人は本当に韓国を嫌っているようですね。
期間限定の反韓
しかし実際のところ、台湾人の反韓感情は一時的なものに思えます。台湾人は普段韓国の音楽を聞いたり、韓国の携帯電話を使ったり、韓国のファッションにあこがれたり、韓国ドラマやバラエティ番組を見て楽しんでいるからです。なぜこんなふうに矛盾しているかというと、大部分の人たちの反韓感情は「スポーツ大会期間限定」だからでしょう。
わたしに言わせると、台湾人の反韓感情は本当に韓国を嫌っているからではなく、「期間限定のイベント」(お祭り?)のようなものです。今回のテコンドー事件も審判が韓国系フィリピン人だったというだけで、本当は韓国とはまったく関係ありません。ですが台湾人はひたすら韓国のせいにして罵声を浴びせかけました。まるで何かのイベントに参加しているかのようです。理性と判断力を失い、真実も追求せずに、ただただ人々の激しい感情の波にのみ込まれ、ほんの数日後には何もなかったかのように韓国のモノを受け入れているのです。
台湾政府への失望
わたしも、インチキと感じられる韓国のスポーツ競技での行為があまり好きではありませんが、韓国のモノを拒絶するような無意味なことはしません。それよりもっと気になっているのは、長年にわたってスポーツを重視してこなかった台湾政府の姿勢です。これこそが、台湾がテコンドーなど国際競技の場で韓国に「いじめられる」原因の一つだと思います。韓国はスポーツ界も経済界も政府が全力で支援しています。韓国は米誌『タイム』に「Asia's Latest Miracle(アジア最新の奇蹟)」と評されました。一方、台湾政府は常日ごろスポーツを発展させると言っているのに結局は何もできませんでした。選挙のスローガンに使っただけです。
実は台湾人の反韓感情の裏には、政府に対する失望も隠されているのではないかと思うことがあります。
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