記事番号:T00100706
黒松は台湾で最も歴史のある飲料メーカーです。主要製品は、▽飲料、▽酒類、▽その他──。小売り以外に、各地に自動販売機が6,000台以上あります。2021年の連結売上高は92億2,000万台湾元(約383億円)で、台湾の飲料販売市場シェア8%。炭酸飲料では、コカ・コーラに次ぐ2位のサプライヤーです。
日本のラムネが発祥
黒松は1925年、張文杞氏が創業しました。張文杞氏は幼い頃より商売をしたいと考えており、資金を工面して、24年末に台北駅裏の鄭州路付近で、日本人が営むガラス玉入りラムネ店のニコニコラムネの設備を購入。25年、いとこ7人と進馨商会を設立しました。
当時、日本の有名な会社は、三菱や三洋などいずれも「三」の字が入っていたので、「富士」と「三手」をラムネのブランドに決めました。
ある日、三手ラムネが「泥棒ラムネ」と呼ばれているのを耳にしました。詳しく話を聞いたところ、中国では泥棒のことを3つの手と呼んでいることが分かりました。
そこで31年、三手ラムネから「黒松サイダー」に名称変更しました。50年に、今では台湾コーラと呼ばれる「黒松沙士」を発売しました。
コカ・コーラ抜き一時首位
張斌堂氏は53年、黒松の3代目として生まれました。2010年に董事長就任後、黒松ブランドが今後数百年続くよう、「伝承と創新」を会社の核心に据えました。
張斌堂氏は、本業の飲料だけでなく、不動産活用にも力を入れました。12年には黒松が所有していた台北市松山区のショッピングセンター(SC)、微風広場(ブリーズセンター)の隣接地を82億元で売却しました。
老舗ブランドのイメージ一新のため、12年、3カ年計画「創新再造計画」を始動しました。桃園市中壢区で22億元を投じ、環境に優しいグリーン・ファクトリーを建設しました。台湾の飲料業界で初めてのグリーンビルディング(グリーン建築)の工場です。
また、日本のプロ野球界で活躍していた陽岱鋼選手を、「黒松沙士」のイメージキャラクターに抜擢し、イメージ広告「夢を手に入れるまで諦めない」を制作しました。「超沙闘士」のイメージで、多くの若者の共感を呼びました。一時、炭酸飲料市場シェアは27%まで上昇し、コカ・コーラの25%を上回りました。
13年、張斌堂氏は日本を視察に訪れ、台湾で初めて、炭酸飲料に果汁や乳酸菌を加える無菌充填生産ラインを導入しました。
マーケティングに若者登用
張斌堂氏は、ブランド若返り戦略のため、30歳未満の若い社員にブランドのマーケティングを任せるなど、権限移譲を進めました。
ベテラン社員の価値も理解しており、退職した社員を特別助理として呼び戻し、新人社員の育成を任せました。これまでの経験や専門知識の共有や、キャリア支援を任せました。特別助理には、毎週レポート提出を求めたほか、毎月1回、面談を行い、現場で気づいたことを報告してもらいました。
張斌堂氏は、公文書や研究レポート、新情報などで、興味深いテーマを目にすれば、職位に関わらず、社員を捕まえて会話し、社員の考えを理解しようとしました。
販売店に対しても、何代に渡っても黒松と商売をしてもらえるよう、社員同様に関わりました。毎年の合同大会や季節ごと地域別座談会など、北部から南部までスケジュールの合間を縫って参加し、交流しました。
現在、直営販売店10店と一般の販売店53社があります。黒松以外の商品も販売できるようにし、単なる取次販売店でなく、多様な商品を取り扱う小売店へと導いています。
黒松は22年末までに5,000万元を投じ、自動販売機1,400台を統一発票(公式レシート)発行機能付き自動販売機にアップグレードする計画です。
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