第182回 キンポグループ董事長 許勝雄氏/台湾


コラム 台湾事情 作成日:2021年9月17日

台湾流経営策略 台湾の名経営者

第182回 キンポグループ董事長 許勝雄氏/台湾

記事番号:T00098492

 金仁宝集団(ニューキンポグループ、NKG)は、傘下に▽金宝電子工業(キンポ・エレクトロニクス)、▽仁宝電脳(コンパル・エレクトロニクス)、▽泰金宝電通(カルコンプ・エレクトロニクス&コミュニケーション)、▽康舒科技(アクベル・ポリテック)、▽凱碩科技(キャッスルネット・テクノロジー)、▽智易科技(アルカディアン・テクノロジー)、▽鋐宝科技(コンパル・ブロードバンド・ネットワークス、CBN)、▽博智電子(アライド・サーキット、ACCL)──と上場企業8社を擁しています。時価総額は1,500億台湾元(約5,980億円)を超え、年間の連結売上高は約1兆3,000億元に上ります。

 そのうちコンパルは、ノートパソコンと携帯電話の受託生産大手で、顧客に▽HP、▽デル、▽テスラ、▽アマゾン・ドット・コム、▽マイクロソフト(MS)、▽アップル、▽ダイソン──など世界の大手メーカーを抱えています。

大学時代に起業

 創業者の許勝雄(ロック・シュー)氏は、1943年に桃園で生まれ、国立台湾師範大学国文学系を卒業しました。子供のころから文学が大好きで、レポーターになることを夢見ていました。大学時代にペンを捨てて実業家になるとは誰も思ってもいませんでしたが、入学したその年に起業の道を歩み始めました。

 1973年、許勝雄氏は父である許潮英氏、および台湾大学の優秀な学生6人と共同で、600万元の資金を元手に、キンポ・エレクトロニクスを設立しました。

 この6人は後に、受託生産業界で重要な地位を築きました。林百里(バリー・ラム)氏と梁次震氏は後に広達電脳(クアンタ・コンピューター)を設立しました。故・温世仁氏は英業達(インベンテック)を設立しました。

 許勝雄氏は、会社設立当初から製品の品質と量、経営管理に厳しく要求を課し、世界最大のコンピューターのODM(相手先ブランドによる設計・生産)に育て上げました。

80年代にノートPC参入

 コンピューターが発展し始めた84年にコンパルを設立しました。当時の主力事業はモニターとコンピューター端末の生産でした。同時に、デスクトップが市場の主力であった80年代後半に、ノートPCの設計に乗り出します。許勝雄氏率いる経営陣は常に、1つの事業に頼らない「デュアルコア戦略」を採用してきたのです。

100年企業を念頭に

 許勝雄氏は、数字と人を重視しています。企業の「企」という字は、部首の「人(ひとやね、ひとがしら)」を取り払うと、「止」まってしまいます。100年続く企業とするため、適材適所で仕事を任せることが重要だと考えています。

 企業が大きくなる時に最も恐れるべきは老化です。許勝雄氏は近年、▽キャッスルネット、▽アルカディアン、▽コンパル・ブロードバンド、▽アライド・サーキット──の経営を専門経営者に任せ、息子の許介立氏にアクベルの董事長の座を譲りました。革新で革新を育み、ビジネスでビジネスを育むポリシーを自ら体現しているのです。

従業員を疑わない

 「人物をよく知り、能力に応じて任せ、信じ、疑うような人は使わず、使う以上は疑わない」。これは、許勝雄氏が会社経営で実践している信念です。自社で働く社員が、生活の心配をすることなく仕事ができる環境を作ることで、力を発揮することができると考えています。

 一方で、許勝雄氏は、階層ごとにそれぞれ責任を負わせています。例えば、3億元を超える調達は董事長の承認、3億元以下は総経理の承認といった具合です。

 また、傘下の企業の総経理は3カ月ごとに、関係会社の総経理は6カ月ごとに会議を開催しています。事業の報告のほか、コミュニケーションが目的です。総経理がお互いにやっていることを知ることで、相乗効果が生まれると期待しています。

子育て支援に2.6億元

 許勝雄氏は、従業員を家族のように大切にしています。例えばコンパルでは、従業員に子供1人当たり6万6,000元の育児手当を支給しています。2011年の制度設立以来、子供が4,000人近く生まれ、累計2億6,000万元を支給しました。また、託児所と契約し、託児プランも提供しています。

 

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シニアコンサルタント

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