記事番号:T00098955
海覇王企業集団は、食品や飲食業からスタートし、不動産業や建設業、近年ではホテル業にも進出しました。傘下には、レストラン「海覇王」のほか、ホテルチェーン「城市商旅(シティースイーツ)」、「徳立荘(ミッドタウン)」、「ホテルパパホエール」があります。
市場が商売の根幹
創業者の荘栄徳氏は、台南で生まれ、高雄で育ちました。生家は養鶏場を営んでおり、育てた鶏を市場で売って生計を立てていました。荘氏は、市場での売買はとても好きでしたが、父親のそばで仕事を観察し「育てた鶏を市場でばらして売る」やり方は非効率だと考えました。
そこで実家の商売を、市場で売る「小売業」から、レストランやホテルなどに卸す「卸売業」に転換しました。
海鮮レストランに商機
台湾で海鮮料理レストランが流行り始めた当時、荘氏は卸売りをやめ、1975年、高雄にレストラン「海覇王」の1号店をオープンしました。
レストラン経営の鍵と考えたのは、コストと料理人の管理です。まず、食材の原価を抑えるために野菜や肉は中央卸売市場で購入することにしました。市場で買えば、鮮度も十分です。また、料理人に対しては特別なスキルは求めず、ごく標準的な調理技術があれば十分と考えました。そのため、店舗が増えれば増えるほど、単位労働コストは下がります。
海覇王は全盛期、台湾各地に14店舗あり、手頃な値段の海鮮レストランとして、披露宴や謝恩会など、宴会でよく利用されるようになりました。
不動産投資で先見発揮
荘氏は86年、裁判所の競売で高雄の農地7万5,000坪を約1億5,000万台湾元で落札しました。5年後に元高雄市議会議員に27億5,000万元で売却し、17倍もの売却益を得ました。
その農地は、もともといわくつきの土地でした。和信興実業という会社が、蒋介石・元総統のために豚を飼育していた場所で、財務問題が発覚し、競売にかけられたのです。まだ数万匹もの子豚が飼われており、買い手が付きにくい厄介な土地でした。
後に荘氏は、友人にこう話しました。「時に、他人がしないことをすることで、稼ぐことができるんだ」。
低料金のホテル強化
ホテル事業にも参入しました。2005年、シティースイーツを設立したのに続き、中国人観光客の受け入れ開放を受け、台北市の繁華街、西門町で15年にミッドタウンをオープン。16年に西門町でバックパッカーズスタイルのホテルパパホエールをオープンしました。
ホテルの特色は、観光客が多く、交通のアクセスが良いエリアで、客室数が多いこと。宿泊料金を抑え、ターゲットをビジネス客やバックパッカーに絞っています。同社のホテルが西門町に集中している理由でもあります。
卸売センターに重点
19年、高雄の前鎮漁港に台湾最大となる2,700坪の水産物卸売センターを建設しました。同時に、旬の新鮮な海鮮を産地直送で味わえるよう、台北市に火鍋レストラン「前鎮水産」をオープンしました。
荘氏はレストランでなく、水産物卸売センターに経営の重点を置いています。水産物卸売センターは飲食業や旅行業のプラットフォームのようなもので、消費者はレストランで外食したくなければ、食材を買って帰り、自宅で好きなように調理することができます。物流業参入により、飲食業の川上、川中、川下まで網羅したのです。
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荘建中
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