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第192回 チャイリース董事長 陳鳳龍氏/台湾


コラム 台湾事情 作成日:2022年7月15日

台湾流経営策略 台湾の名経営者

第192回 チャイリース董事長 陳鳳龍氏/台湾

記事番号:T00103656

 中小企業向けリース会社、中租控股(チャイリース・ホールディング)は、台湾のリース市場シェア5割以上の最大手です。

 2021年の連結売上高は前年比21%増の721億6000万台湾元(約3360億円)、純利益は28%増の216億元で、1株当たりの純利益(EPS)は14.8元でした。従業員は7790人。海外支店は、中国、米国、英国、東南アジア諸国連合(ASEAN)7カ国などに100店舗以上あります。

平社員から董事長に

 チャイリースは、1977年に金融持ち株会社、中国信託金融控股(中信金、CTBCフィナンシャル・ホールディング)の前董事長、辜濂松氏と、王道商業銀行(オーバンク)の創業者、駱錦明氏が共同で設立しました。台湾で最も古いリース会社です。当初は主に、中小企業に動産担保融資を提供していました。当時、鴻海科技集団も、設備を担保に融資を受けました。

 陳氏は、米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)のスローン経営大学院でMBA(経営学修士)を取得しました。卒業後、中国信託の賃貸保証部門で営業を担当しました。

 1995年、中国租賃と迪和が合併し、中租迪和(チャイリース・ファイナンス)が誕生しました。陳氏は、真面目な勤務態度で、平社員から営業チーフ、与信審査チーフ、総経理と昇進し、董事長に登り詰め、チャイリースを台湾リース業界首位の座まで引き上げました。

複数のニッチ市場で成長

 融資とはお金を貸すことです。メガバンクなどの強力なライバルを相手に、チャイリースは、異なる市場やチャンスを見つける必要がありました。

 陳氏は、ニッチ市場の見つけ方には、2つの原則があると考えています。1つ目は、誰もやりたくないこと、2つ目は、誰もやらないことです。

 1つ目の誰もやりたくないこととは、市場が小さすぎる、または時間がかかりすぎるので、規模の大きいライバルが興味を持たないことです。または、案件の金額が小さい、労働集約型産業や知識集約型産業も、規模の大きいライバルはやりたくないかもしれません。

 2つ目の誰もやらない市場とは、例えば、船舶や航空機を担保とする融資です。非常に専門的なため、規模が大きな会社には向いていません。

 チャイリースは設立以来、ニッチ市場を見つけ、差別化を極めて、次のニッチ市場に応用することで成長してきました。

 陳氏は、小さい市場は成長に限界がありますが、ここまで発展できたのは、たくさんのニッチ市場を見つけたからと分析しています。例えば、中小企業、消費者、漁業者向け融資や、小型自動車、トラック、航空機、船舶担保、太陽光発電所などです。これらニッチ市場の多くで、首位となりました。

顧客・地域リスクの分散

 陳氏は、リース先の業界を選ぶ際に、「因地制宜(それぞれの土地柄に応じて適切な措置を講じる)」ことが重要と考えています。

 どの業界か決まれば、「隨波逐流(流れに乗る)」。そして、「逐水草而居(水や草がなくなれば、ある場所に移動する)」。チャイリースは、常に業界の進む方向を追いかけ、エリアも業界も顧客も分散しています。そのため、いずれの産業も構成比が10%を超えることはありません。

顧客の顧客も取り囲み

 チャイリースの営業マンは、どの業界にも入り込み、ニーズを探るだけでなく、顧客の川上や川下のサプライヤーまでも顧客にし、業界の情報網を確保します。これにより、リスクを把握できる上、業界の動向もよく分かるので、新規顧客を開拓できます。

 チャイリースはこれまでに、中小企業30万社以上、個人200万人以上と取引しています。

太陽光発電所を所有

 チャイリースは2010年、省エネルギーを実現するサービスを提供するESCO事業者に対する融資を開始しました。12年には、太陽光発電事業への融資や、エネルギーコンサルティングを始めました。

 太陽光発電に潜在成長力があると考え、15年、中租能源開発(チャイリース・エナジー・インテグレーション)を設立しました。自社で太陽光発電所を設置したり、買収したりすることで、現在、太陽光発電所を2655基所有しています。設備容量は918メガワット(MW)と、原子力発電所の1.5基分に上ります。

 太陽光発電所は、北部、中部、南部、東部、離島にあり、台湾最大の太陽光発電事業者となりました。チャイリースは、台湾電力(TPC)と20年の売電契約を結んでいます。

 17年には、クラウドファンディング方式で太陽光発電所を建設する「全民電廠」事業を開始し、個人でも少額出資ができるようにしました。

 

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荘建中

ワイズコンサルティング社高級顧問

 年間200回以上のセミナー講演を行い、法律、経営、人事、財務、人材育成など、多岐にわたるテーマを幅広く扱っている。なかでも難解な内容をわかりやすく伝えることに定評があり、参加者から高い評価を得ている。ワイズのエース講師として、どんなテーマにも柔軟に対応でき、ユーモア有る話術で魅力的な講演が可能。(言語)中国語◎

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