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第202回 聯華食品董事長 李開源氏/台湾


コラム 経営 作成日:2023年5月19日

台湾流経営策略 台湾の名経営者

第202回 聯華食品董事長 李開源氏/台湾

記事番号:T00109023

 聯華食品工業は、スナック菓子の大手メーカーです。主な商品は▽可楽果(エンドウ豆のスナック菓子)、▽卡迪那(ポテトスナック)、▽元本山(ノリ)、▽viva万歳牌(ナッツ)──などです。コンビニエンスストアの鮮食(調理済み食品)受託生産の台湾最大手でもあり、▽おにぎり、▽サンドイッチ、▽麺類、▽弁当──などを生産しています。

 2022年の連結売上高は前年比13.2%増の107億7200万台湾元(約470億円)で、1株当たり純利益(EPS)は3.89元でした。

 李開源・董事長の父で、聯華食品の創業者、李国衡氏は、1950年代に台北市大同区の問屋街、迪化街に店を構え、穀物や豆類、イカ、ノリなど食品の輸出入業を営んでいました。その後、物価上昇でリスクが大きくなったので、生活を安定させるため、食品加工業に転換し、迪化街で聯華食品工場を設立しました。当初は家内制手工業でサキイカ、ノリの加工などを手掛け、台湾で販売していました。

食感を追求

 李国衡氏は縁あって製麺機を購入しました。李国衡氏は生まれながらの発明家で、材料の配合や成形を100パターン以上試してみました。ソラマメを主原料に、らせん状に押し出して揚げると、カリッとした食感になることを発見し、スナックとして迪化街で販売しました。このらせん状のスナックは71年、可楽果ブランドで発売しました。

 李国衡氏は76年に病死し、李開源氏が引き継いで、事業を拡大しました。可楽果を生産する大規模な工場を建設し、台湾各地で販売しました。77年には食感を良くするため、原料を現在のエンドウ豆に変更しました。

 81年には2番目のブランド「元本山」ノリを発売しました。李開源氏は、元本山の名付け親です。日本から設備と技術を取り寄せ、生産ラインの温度と湿度を制御し、パリパリとした食感のノリを生み出しました。元本山はすぐにノリの代表ブランドとなりました。

コンピューターを早期導入

 李開源氏はかつて米国でコンピューターやIT(情報技術)を学んでおり、データ管理が今後の主流になることが分かっていました。米コンピューター会社、ワング・ラボラトリーズが70年代に中国語システムのコンピューターをリリースすると、すぐに導入しました。そろばんで帳簿を付け、手書きで領収書を書くことが当たり前だった時代に、聯華食品は台湾で初めて、コンピューター、プリンターを使ったのです。

 95年に株式市場に上場後、会社は堅調に成長しました。2002年に台湾が世界貿易機関(WTO)に加入したころ、ポテトチップスブランドのプリングルスや、海外の量販店大手が相次いで台湾市場に参入し、聯華食品の収益は圧迫されました。

「学習する組織」に改革

 李開源氏は、従来の価値観、製造方法、流通経路の競争力が失われつつあることに気付きました。李開源氏は、会社を改革するため、専門家に教えを乞うて回りました。その結果、多くの問題は「事の成否は人の努力次第」なのだと分かりました。

 これまで同僚に対し、意見を言って傷つけたり、恨みを買うことを恐れていたため、成長が遅かったのだと気づきました。そこで李開源氏は、聯華食品を「学習する組織」へと徐々に変えていきました。

 定期的にオンライン勉強会を開催し、従業員に読書を勧め、新しい価値観を吸収させ、既存の思考・行動パターンを変えていきました。従業員に主体性を持ち、「全員参加で改善を続ける」精神を叩き込みました。

トレーサビリティー構築

 聯華食品は、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、ITで管理する食品メーカーとして数々の業界ナンバー1を打ち立てました。台湾の食品業で初めてERP(統合基幹情報システム)を導入したほか、トレーサビリティ(履歴情報管理)システムを構築しました。

 01年に鮮食(調理済み食品)事業を設立し、13年には必要な物を必要な時に必要な量だけ作るトヨタ式生産方式(TPS)を導入しました。これにより、コンビニの鮮食の主要受託生産メーカーになりました。

 聯華食品は毎年、従業員から新商品のアイデアや新たなビジネスモデルの提案を募るイノベーションコンテストを開催しています。優勝賞金は20万元です。コンテストをきっかけに、従業員に数々のアイデアが芽生え、成長することを願っています。

 

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荘建中

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ワイズコンサルティング社高級顧問

 年間200回以上のセミナー講演を行い、法律、経営、人事、財務、人材育成など、多岐にわたるテーマを幅広く扱っている。なかでも難解な内容をわかりやすく伝えることに定評があり、参加者から高い評価を得ている。ワイズのエース講師として、どんなテーマにも柔軟に対応でき、ユーモア有る話術で魅力的な講演が可能。(言語)中国語◎

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