記事番号:T00111190
アジア太平洋地域で最大の半導体商社、大聯大控股(WPGホールディングス)は、傘下に▽世平興業(ワールド・ピース・インダストリアル、WPi)、▽品佳(シリコン・アプリケーション、SAC)、▽詮鼎科技(アジアン・インフォメーション・テクノロジー、AIT)、▽友尚(YOSUNインダストリアル)──を擁し、世界に120拠点を構えています。従業員は5600人。
取引先は、世界的に有名な半導体メーカーの▽インテル、▽テキサス・インスツルメンツ(TI)、▽サムスン電子、▽聯発科技(メディアテック)、▽立錡科技(リッチテック・テクノロジー)──など250社。2022年の連結売上高は7761億台湾元(約3兆5800億円)でした。
たった2人で起業
WPGホールディングス董事長の黄偉祥(サイモン・ホワン)氏は1955年に生まれ、国立成功大学の工程科学系(学部)を卒業しました。
大学3年生のとき、セールスエンジニアを目標に定め、会計、統計、経済、日本語などの習得に励みました。
卒業して2年後の1980年、半導体部品専門の貿易会社、世平興業を設立しました。起業当初はたった2人、電話1台と、机3台のスタートでした。
買収で規模拡大
1993~95年、世界最大の半導体商社、米アロー・エレクトロニクスが世平興業を買収しようとしましたが、黄氏は企業理念が合わないと断りました。
ライバルに買収の話を持ち掛けられたことで、黄氏の中に、会社を売らずに大きくしようという考えが生まれ、多くの企業を買収しました。
M&A(合併・買収)の過程で、吸収合併では、買収した企業の組織をすぐには取り込めず、企業文化の違いで従業員の離職が相次ぎ、合併の効果が出ないと気付きました。
こうした問題を解決するため、2005年、世平興業と品佳の株式交換で、持ち株会社のWPGホールディングスを設立しました。
経営統合した当初、世平興業も品佳も上場企業だったため、従業員同士の言い争いが絶えず、董事会(取締役会)は、信頼関係なくして、どうすれば協力関係を築けるのかと議論が飛び交いました。
そこで黄氏は、「フロントエンドを分けて、バックエンドをまとめる」と言いました。
フロントエンドは、世平興業と品佳の販売や技術サポートのことで、それぞれが別々に行います。バックエンドは、運営や管理、総務、オフィス、情報システムなどのことで、機能をまとめます。
そこで、情報、人事、会計、法務などのバックオフィス業務をまとめ、コストを抑えました。各社の倉庫も統合し、倉庫管理の専門会社を設立して、その後に買収した起業もすぐに利用できるようにしました。
売上偏重を脱却
黄氏は、運転資金利益率(ROWC)を管理指標に導入しました。
それまで各社は、売上高だけを追求して受注し、在庫の山ができる悪循環に陥り、株価は下落していました。そこで、ROWCを導入し、利益の伸びが売上高の伸びを上回るようにすることで、従来のやり方を改めました。
黄氏の経営理念は、従業員に対し、会社や上司のためでなく、自分のために頑張るというものです。懸命に働けば、評価が上がり、賞与(ボーナス)が得られ、昇進、昇格できます。
黄氏は、従業員が自分で自分を管理できるようにすれば、自然と努力する、これこそが管理だといいます。コンビニエンスストア最大手、セブン-イレブンの店舗のように、稼いだ部門には分配し、稼げない部門は頭をかくしかないと話しました。
WPGホールディングスは、あらゆる費用を最小単位のセルごとに分配します。各セルは、自分のセルが稼いでいるのか、目標に達しているのか理解します。従業員にもっと還元すべきか、もっと増員すべきか、減員すべきか、セルのリーダーが決定します。
大企業特有のぶら下がり社員は存在せず、どの部門も独立採算制で、業績や給与、ボーナス、費用、利息、在庫まで管理します。どうやって効率を上げるのかは、セルのリーダーの管理次第です。全ての部門がうまく自己管理できれば、会社は必ず利益を上げ、管理も簡単です。
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