記事番号:T00003345
●前回のあらすじ
PPMは、2次元のマトリクスで次の3つの指標を表現しています。
(1)市場成長率…縦軸
(2)相対市場シェア…横軸
(3)各事業部の売上高…円
●チャートの見方(おさらい)
下図と比較しながら解説いたします。
●上図各事業(製品)の状態
(A):「スター」のポジショニングに属し、市場の成長率は10%で、相対市場シェアは約3倍のシェア1位となっています。他事業と比較して売上高も一番高く、スター事業です。
(B):「負け犬」のポジションに属し、事業は成長させていかなければ、存続の意味を問われることになります。しかし、市場の成長が見込めなくても、この事業が会社の広告塔など他の理由で存続している可能性も考えられます。
(C、D、E、G):「問題児」のポジションに属し、各事業は早くシェアを拡大しなければ、他社との競争に負けてしまいます。経営資源を重点的に投資し、早く事業を成長させることが必要です。
(F):「スター」のポジションに属し、業界内では競合よりシェアが2倍以上ある1位ですが、売上高が少なく、この事業(製品)の市場規模が小さいことが分かります。
●全社的に見た状態
この会社は、資金繰りが厳しいのではないかと予想できます。それはキャッシュを生み出す「金のなる木」に属する事業がなく、キャッシュが必要な「問題児」と「スター」のポジションに事業が集中しているからです。もし各事業にキャッシュを均等に分配した場合、各事業の競争力低下が予想されます。
●PPMの一般的な戦略
PPMの一般的な戦略としては「金のなる木」のポジションに属する事業で生み出したキャッシュを「問題児」の事業に重点投資し、早く「スター」のポジションへ移行する事業を創り上げることです。
この会社の場合、(C)(D)の2つの事業、またはどちらかへ重点投資するべきでしょう。なぜなら(C)は売り上げも多く業界トップと比較してシェアが0.8倍、(D)はシェア0.9倍に位置していますので、1位となるチャンスが非常に高いわけです。1位になれば、他社との競争力が全く違い、さまざまな恩恵にあずかって、今後、会社にとって安定した事業になる可能性が高くなります。
●今週のなぞなぞ
プロダクトポートフォリオの見方はご理解頂けましたでしょうか。それでは、実際にどのような使い方があるでしょうか?
ワイズコンサルティング 手塚理奈子