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労務コンサルタントの
事件簿63「大変!社員が退職時に
有給休暇を一気に消化!」


コラム 人事労務 作成日:2023年1月19日

労務コンサルタントの事件簿

労務コンサルタントの
事件簿63「大変!社員が退職時に
有給休暇を一気に消化!」

記事番号:T00109255

 台湾では春節後に転職シーズンが到来します。この時期になると、『今年は何人辞めるだろう』と、少なからず不安を感じるものですね。
 さて、今回はよくある労務相談の中でも常に上位にあがっている、退職時の有給休暇の取り扱いをめぐるトラブル事例をご紹介します!

◎事例
楊さん:支店長、お話がありますが、10分ほどお時間いただけないでしょうか?
池田支店長:(ついに来たか…)分かった。午後3時なら会議が終わるからその時に話そうか。
楊さん:承知致しました。ありがとうございます。
(会議終了後、面談へ)

楊さん:本日はお時間頂きありがとうございます。実は、他にやりたいことがあるため会社をやめたいと考えています。
池田支店長:そうですか…ゆくゆくは組長を任せたいと思っていたので、残念に思います。ちなみに他にやりたいこととは何ですか?
楊さん:この仕事は向いてないと思うんです。もっと人と関わる仕事に就きたいと考えています。
池田支店長:そうだったのか。もっと早めに相談してくれたらよかったのに…もう意思は固まっているのでしょ?
楊さん:はい。会社が人手不足な時期に大変申し訳ありませんが、時期は今月末と考えています。よろしいでしょうか。
池田支店長:うん…(まだ1ヶ月あるから問題ないだろう…)分かった。楊さんにはたくさんの仕事を引き受けてもらっているから、引き継ぎはきちんと済ませるようにしてくださいね。
楊さん:承知致しました。
(しかしその後、楊さんからたまっていた有給休暇を全て消化する申請があったのだ。)

池田支店長:楊さん、有給休暇を消化するのは良いが、残り10日の期間内で引き継ぎは終わるのか?
楊さん:大丈夫です。引き継ぎ資料は退職するまでに完成させますので問題ありません。
池田支店長:いやいや、それだけではなくて業務を引き継いだ後の指導も含まれるんだよ。時間を作って後任への説明もしないといけないし、それに期限が短すぎると、抜け漏れが起こりやすいから、考え直してくれないか?
楊さん:事情によりどうしてもこの日までしか出勤できません。有給休暇の取得は労働者の権利です。会社は拒否できないはずです。
池田支店長:(え〜話が違うでしょう。台湾ではそうなのか?…)

◎解説
 有給休暇は本質上、労働者が日常の労働生活から完全に解放し、心身ともに休めるよう休息日以外で一定程度集中した休暇を与え、普段できないリフレッシュ、旅行、文化活動あるいは学習に必要な時間にあてるものです。(台湾高裁98年度労上易字第140号參照)
 尚、労働基準法第38条により、有給休暇の期日は労働者が指定するものと定められており、経営上危うい程度に差し迫った必要性がある場合に限り、その期日について労働者と協議できるとしています。ここでいう『必要性』というのは、最高裁によると、受注急増、或いは他の社員が私用休暇や病気休暇を取得または無断欠勤、離職により人手が逼迫した場合などが含まれます。(台湾最高裁96年度台上字第187号参照)そのため、有給休暇を取得する手段は誠実信用及び権利濫用禁止の原則(民法148条)に基づく必要があり、会社の運営に重大な影響を及ぼす場合、労働者はその調整について比例原則によって譲歩すべきなのです。(台湾最高裁109年度上字第111号参照)
 ただ、労働者は司法をそこまで熟知しておらず、法令規定をもって権利を主張してくることが多いのが実態としてあります。それではトラブルを最小限に抑えるため、企業はどのような対策をとれば良いのか?その答えは、ぜひ労務顧問会員サービスを利用してチェックしてみてください!

 

 

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