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労務コンサルタントの
事件簿59「台湾における連続勤務の落とし穴」


コラム 人事労務 作成日:2022年9月8日

労務コンサルタントの事件簿

労務コンサルタントの
事件簿59「台湾における連続勤務の落とし穴」

記事番号:T00109282

 台湾では、一例一休の制度が設けられており、7日のうち1日を例暇日(法定休日)、1日を休息日(所定休日)としなければなりません。また、例暇日は原則として出勤させてはならず、連続6日を超える勤務をさせてはならないと定められています。
 さて、以下は連続勤務違反となってしまった企業の一例です。

坂本営業部長:総経理、今月のイベントですが、黄さんに応援に来てもらおうと考えています。
松田総経理:今週の日曜だな?確か日曜日は出勤させてはいけないはずだが?大丈夫なのか?
坂本営業部長:はい、大丈夫です。日曜日と土曜日を振り替えることに同意を得ています。
松田総経理:そうだな。アルバイトだけでは不安があるから、できればそうしてもらえると助かるよ。
坂本営業部長:承知致しました。ありがとうございます。では本人に伝えておきます。

(そして数日後)
坂本営業部長:黄さん、来週の土曜日も黄さんが当番勤務でしたね。今週イベントがあるから誰かに代わってもらったら?さすがに2週連続で休日出勤はきついでしょう。
黄さん:いえ、大丈夫です。来週月曜日は残っていた代休を取得する予定ですので。
坂本営業部長:そうだったな。じゃよろしく頼むよ。

(月末)
張人事部長:坂本部長、黄さんの今月の勤怠についてですが、イベントがあった週は連続勤務の上限を超えてしまっています!これでは労働基準法(労基法)違反です!
坂本営業部長:いやいや、月曜日に代休をとっているから、6日の勤務で問題ないはずだ!
張人事部長:いいえ。台湾の規定では、代休をとっていても連続勤務は途切れません。連続勤務は例暇日か休息日でしか途切らせることはできないのですよ。
坂本営業部長:何だと!それは確かか…?

◉解説
 台湾では、4週間変形労働時間制を適用している会社でない限り、労働基準法施行細則第22-3条の規定により、従業員に6日を超える連続勤務をさせることはできません。また、同条で定める連続勤務は「所定の出勤日」で計算する必要があります。法解釈によれば、代休、有給休暇、公用休暇、祝日、台風などによる欠勤は、出勤するよう定められた日の出勤義務を免除したに過ぎず、その性質が所定の出勤日であることに変わりないと解釈されています。つまり、7日間の周期内で必ず1日を例暇日又は休息日としなければならず、代休や有給休暇などの休暇を途中に取らせたり、途中で祝日や台風などで休業となった場合でも、連続勤務の制限を受けることになります。
 尚、4週間変形労働時間制を適用できる業種は極一部に限られています。従って、休日出勤がある企業では、2週間変形労働時間制又は8週間労働時間制を適用し、休日をずらして6日を超える勤務にならないよう調整していることが多いです。皆様も「7日の周期内で休みがあればOK」という先入観にとらわれないようご留意下さい。

 

 

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