記事番号:T00109284
台湾現代婦女協会によれば、近年職場でのセクハラに関する相談が増えてきており、全体の5割を占めているという。また、その相談内容の約4割が会社の対応に不満を感じることであった。台湾では、性別工作平等法により、雇用主はセクハラの事情を知るに至った後、直ちに有効な是正・救済措置を講じなければならないと定められている。セクハラ事件において会社の初動対応を間違えれば、更なるトラブルに繋がりかねない。さて、セクハラ事件で会社側の責任が問われたケースを見てみよう。
人事部長:総経理、ご報告があります。営業部Aさんから製造部課長からセクハラ被害を受けていると相談がありました。
総経理:なんだと!何があったのか?
人事部長:肩や髪を触ったりして言い寄る言動があったようです。Aさんは本人にはやめるよう何度も直接話したが、セクハラ行為が続いていると訴えています。
総経理:これは大問題だ。すぐにやめさせなければ!
(そして総経理は課長を会議室に呼び、本件について警告し、Aさんに謝罪するよう指示した。数週間後…。)
人事部長:総経理、大変です!例のセクハラの件ですが、労動局から通知が届きました。会社がセクハラの告発に対し、適切な措置を行わなかった疑いで検査を行うとのことです。
総経理:会社としてはきちんと対応したはずだが…。何か問題があったのか?
◉判決
結論として、会社側の違反が認められ罰金が科せられた。理由としては、法律でいう「有効な是正・救済措置」が「雇用主ができる範囲で講じるべき是正及び救済措置」を指し、会社が積極的に介入して調査を行い、経緯・原因を追求し、適切な解決策を講じ、加害者に是正を求めることが含まれるからである。加害者に対して措置をとる場合は雇用者側から告知を行わなければならず、自発的に被害者の様子を心がけ、被害者が敵意や脅威のある環境に置かれないよう取り組まなければならない。よって口頭で警告するのみでは消極的措置としか言えず、調査も行わずに、被害者との接触防止措置や対策を講じなかった会社は同規定に違反すると判決された。
◉解説
会社側は少なくとも事実確認や原因追求のための調査を行い、記録を取っておく必要があった。また、両者ができる限り直接接触しないよう異動や席替えを行う事も望ましい。他社では、情状に応じて加害者に懲戒処分を与える、或いは誓約書を書かせ、被害者との接触及び再犯しないよう制約することも多い。さらに社内報によるセクハラに対する方針の明確化や研修を行うことで防止の効果が期待できる。これらの積極的措置を講じていれば、責任は問われなかっただろう。
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