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労務コンサルタントの
事件簿49「社員の不適切なSNS投稿対策」


コラム 人事労務 作成日:2021年11月12日

労務コンサルタントの事件簿

労務コンサルタントの
事件簿49「社員の不適切なSNS投稿対策」

記事番号:T00109292

 財団法人台湾ネットワークインフォメーションセンターが公表した「台湾インターネットレポート」によると、2020年の台湾人のSNS利用率は80%にも及んでいます。いつSNS上の不適切発言が起きてもおかしくないと言っても過言ではありません。

営業部長:総経理、営業部門のAさんがFacebookで不適切な投稿をしていました。どうやら会社の勤務体制に不満を持っているいるようです。
総経理:何だと!どのような発言だ!?
営業部長:労働時間が長い故に、残業代も支払われておらず、かつコロナ期間中も、テレワークを導入しない、社員を大事にしない会社だと訴えています。さらにデスクの写真も添付されていました。とりあえず、直ぐに削除してもらい、厳重に注意しました。
総経理:営業には営業手当を代わりに支給しているだろう?ちゃんと説明していなかったのか?テレワークを導入しないことも労使会議で話し合ったはずだ。
営業部長:残業については面接の際に説明し了承を得ています。また、彼は労使会議の労働者側代表でもあるので、理解しているはずです。
総経理:これは会社のイメージを損なう言動だ。職場の写真撮影も情報漏洩のリスクがある。Aにはそれなりの処分が必要でしょう。今後の対策についても各部門長と話し合おう。

◉解説
 台湾では、SNSによる炎上やトラブルは比較的少ない傾向にあります。しかし、SNSで発信された情報は瞬時に不特定多数者に発信されてしまったり、その上第三者がデータを保存している場合には、情報を完全に削除することができないという点から、会社に与えたダメージの回復が困難なケースもあるため、会社としてはできる限り事前の対策をとっておくことが重要です。

<今後の対策案>
1.就業規則にSNS利用規定を追記
 あらかじめSNSに投稿してはいけない内容を明確に定め、かつ違反した場合の懲戒処分を設けておくことで、社員にとって戒めとなる他、万が一トラブルが発生した際には、懲戒処分を有効に行うことができます。例えば、会社の信用やイメージを損なう投稿、会社の業績や経営戦略、顧客、営業秘密を直接的または間接的に識別できる情報が含まれる投稿、競合他社に対する批判など、懲戒事由を明確にすることが推奨されます。
 また、労使会議代表の解任を懲戒処分の一つとして盛り込むことも可能です。解任条件に関しては、あらかじめ労使会議で決議をとっておく必要があり、会社側が任意に解任することはできません。ただ、労使会議で一度条件を定めておけば、それ以降はその決議事項に従って、会社側が不適任と認めた者の代表資格を取り消すことが可能になります。懲戒処分の他に、SNSの利用規定に反する行為によって生じた損害賠償を求める旨も追記しておくと、社員に対する牽制効果が高まります。

2.SNS教育を社員研修に盛り込む
 SNSによるトラブルは、社員が意図的に会社に損害を与えるケースだけではなく、あまり深く考えずに投稿をした結果、思わぬ情報が流出してしまったというケースもあります。そのため、社員にSNSに潜むリスクについてよく理解してもらう必要があります。規程の整備のみならず、定期的な研修を実施するのが望ましいです。

3.社内コミュニケーション活性化
 社員と意見交換する場を設けることも重要です。通常労使会議がその役割を担うのですが、対面では本音やニーズを聞き出せないことも多いです。ましてや正式な会議の場で提案できることは限られます。社員がいつでも意見を提出でき、双方向のコミュニケーションが取れる仕組みを構築することで、SNSによるトラブルの発生率を低減させることができ、かつ社員のモチベーションアップにもつながります。
 さまざまなSNSの運用が普及している中、リスクマネジメントの重要性が高まっています。SNSによるリスクに備え、企業でできる対応策を検討していきましょう。

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