記事番号:T00109285
昨今、福利厚生の一環として病気休暇を一定期間有給扱いとしている企業が増えてきています。それ故、あらゆる理由での病気休暇の申請が多発し、これらを全て認めるべきか否か管理者や経営者も判断に頭を悩ませる事が多いでしょう。
さて、年間15日まで病気休暇を有給で支給している会社で、下記の理由により定期的に病気休暇を取得する社員がいます。会社はこれを認める必要があるのでしょうか。
田中総経理:財務部の張さんは毎月病気休暇を取得しているがどうかしたのか?
王管理部長:田中総経理、張さんは漢方治療に通うため毎週金曜日の午後から病気休暇を取得しているようですね。
田中総経理:どこか体調が悪いのか?
王管理部長:申請書には詳しく書かれていないので、財務部長に確認してみます。(詳細確認後)
王管理部長:田中総経理、張さんの病気休暇の件ですが、体質改善のための治療だと判明しました。
田中総経理:体質を改善しようとするのは良いことだけど、これって病気休暇の扱いになるのか?
王管理部長:病気休暇の申請事由については法律で特に決められておらず、就業規則にも規定がないので、これまで財務部長の判断で承認されてきたようです。
田中総経理:社員の健康経営のために設けた福利厚生とはいえ、ちょっと違和感を感じるな。このような場合で申請を拒否することは法律上問題あるのか?
◉解説
裁判所の見解では、病気休暇は病気や怪我で緊急に医療機関に受診しなければならない為、やむを得ず会社を休む場合に取得できるものと解釈しています。よって、日程の調整が効く漢方治療は病気休暇として扱う必要はありません。この場合、労働者には年次有給休暇又は私用休暇を取得するよう求める事が可能です。
また、労働者休暇申請規則第10条により、労働者が病気休暇を申請する際、雇用主は関連証明書類の提出を要求することができます。但し、これは休暇の取得理由の正当性を確認する為のものであり、休暇の取得条件としてはならないとも解釈されています。つまり、厳密には、証明書類がなくてもその申請の事由に正当性がある場合はこれを拒否することができないということです。例えば、体調不良のため自宅で休養する(受診記録なし)ことが病気休暇の取得理由として認められたケースがあります。
尚、病気休暇の取得率低下または不正取得を防ぐためには、病気休暇の申請が認められる範囲がどこまでか、予めルールを定めておくことが重要になります。さらに人事制度と連動し、不正取得が発覚した場合の懲戒規定を設けたり、病気休暇の取得を評価や賞与に反映するなどの仕組みを作るとより効果的になります。
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