記事番号:T00096571
経営者の皆様と一緒にコロナ後の経営について考えてゆく内容となっています。
今回思考して頂くテーマは「ストックビジネスの可能性は?」です。
●SARSのその後
03年のSARSに対し台湾政府及び企業も対策をとっていましたが幸運にも04年に再流行とはなりませんでした。
弊社でも「労務顧問会員」という非接触型ビジネスを始めたものの幾つか問題点がありました。
1.初年度はご利用頂けるが2年目以降は「問題点は大方解消したので…」と契約継続にならないことが多かった。
2.当時弊社は年間平均40%程度の成長が続いていたので、全体売上の伸びに労務顧問会員の成長がついてこれなかった。(売上全体に占めるシェアが低下)
上記二つの問題を解決するために更に別の「顧客非接触型ビジネスの創出」が急務だったのです。
●ストック型ビジネスとフロー型ビジネス
前職のコンサルファームに勤務していた時、尊敬する専務から以下の教えを頂きました。
「どんなビジネスにもストック型ビジネスとフロー型ビジネスの2種類が有る。経営安定にはストック型ビジネスの創造と拡大が不可欠」(右図参照)
ストック型ビジネスとは今の言葉でいうと「サブスク型ビジネス」です。
(サブスクリプション=定期購読。一度契約すると長い取引が見込めるビジネスモデル)
業界がどちらのビジネスモデルかと言う話ではなく、業界に関係なくオリジナルのストック型ビジネスモデルを構築できないかというコンセプトです。
例えば同じ飲食業でも良い立地で流動顧客を相手にしている店はフロー型ビジネスですが、固定客だけで成り立っている店はストック型ビジネスになります。
設備の販売をしているのなら、販売ではなく設備のリースにするなどです。
日本のコンサルファームでは「経営指導」という年間契約がストック型ビジネスにあたります。
しかし過去の経験から経営指導というサービスは会社経営を自分の人生と考えるオーナー経営者にしかニーズが無く台湾では難しいことも分かっていました。
「経営資源の乏しいわが社でどうやって顧客非接触型ストックビジネスを構築したら良いのだろう…?」
●競合からの気付き
台湾経済日本語ニュース配信事業というサービスでは現在競合となるN社とは過去には協力関係にありました。
N社紙面で私がコラムを毎週連載していたほか、共催でセミナーも開催していたのです。
しかし新たに着任した総経理に変わるとN社から敵対視されるようになったのです。
理由は「労務顧問会員のサービス内容がN社のニュース配信サービスと重複する」とのことです。
「以前の様に協力関係を築きたい」と申し出ても全て断られ、最終的には「そんなにニュースが欲しければ自分でやれば?」とまで言われてしまいました。
この言葉には頭にきましたが、それよりもストックビジネスのアイディアを四六時中考えていた私は「これだ!」と心の中で手を打ちました。
「コンサルファーム+メディア」というビジネスモデルは過去も聞いたことが無い新しいビジネスモデルです。(コンサルタントの職業病で新たなビジネスモデルの創造にはワクワクします♪)
また弊社の他サービスとの相性がよく、立ち上げたばかりの労務顧問会員の継続率向上にも貢献できそうでした。
●ストック型ビジネスへの挑戦
・人材:弊社と関係の良かったN社の総経理は他国へ赴任していましたが、彼に声を掛け彼を中心に編集部員の採用活動をすすめました。
・資金:「メディアビジネスを立ち上げるには最低一千万元は掛かるよ!」と起業間もない頃先輩の経営者に聞いていました。
当時弊社の現金預金残高は一千万元程度だったので、社員達はリスクが高すぎると猛反対でしたが最終的にはオーナー特権で押し切りました(実は結構危なかった(;^_^A)
数多くの失敗や苦労もありましたが、お客様、社員、運にも恵まれ、5年後にはN社を上回り在台日系企業に最も読まれている経済ニュースに成長しました。
また「コンサルファーム+メディア」というビジネスモデルの相乗効果で他のビジネスも大きく成長しました。
●ストック型ビジネスを考察
前述した通りストックか?フローか?というのは経営者の意志の問題です。
不動産販売はフロー型ですし、同じ不動産でも賃貸契約や物件管理はストック型ビジネスです。
ストック型ビジネスにすると以下のメリットが考えられます。
1.継続契約なので売上が安定する。
2.不景気に強くなる。
3.顧客非接触型にすれば感染症流行時にも強いビジネスモデルになる。
4.フロー型で獲得した顧客をストック型で繋ぎ留める事ができる。
Q:貴社のストックビジネス構築の可能性は?
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吉本康志
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