第183話 ゼロからのデジタル化(22)救世主の足音と漂う孤独 - ワイズコンサルティング@台湾
HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

第183話 ゼロからのデジタル化(22)救世主の足音と漂う孤独


コラム 経営 作成日:2026年10月27日

経営者が踏み出す”かんたんDX”

第183話 ゼロからのデジタル化(22)救世主の足音と漂う孤独

記事番号:T00131531

■決断の淵

 「進捗、2週間の遅れ」その事実は密かに、だが確実に社内へ広がっていた。

 長島総経理は頭を抱えていた。いつになく弱気が顔を出す。「納期は変えずに、作業計画を引き直すしかないか…」。

 リスケジュール。口にするのは容易だが、それは現場の誰かに、さらなる無理を強いることを意味する。

 「やりたくはないものだ」漏れた溜息は重く、デスクの隅に消えた。それでも、トップとして決断を先送りすることは許されない。

 そこへ、静かなノックの音が響いた「李です。入ってもよろしいでしょうか?」

 長島は意を決して、リスケジュール案を切り出そうとした。「2週間遅れの件だが、計画を……」。

 「総経理、朗報です。その必要はなくなりました」李経理が言葉を遮るように、弾んだ声で告げた。

 「今しがた、先方の…例のパソコン業者の人事課長から連絡がありました。彼を、こちらに3カ月間『出向』させる手続きをしたいと。再び、助っ人として参戦ですわ!」長島の顔に、パッと光が差したような笑みが浮かんだ。

■夜のファミレス

 しかし、李の報告には続きがあった。「実は不穏な話も耳に入っています」長島の顔から笑みが消えた。

 「プロジェクトメンバーの2人が、夜8時過ぎに退社した際、駅前のファミレスで目撃したそうです。連副総経理と購買部の課長たちが会合しているのを。1度ではなく、2度も」

 「…仕事の話だろう」長島は努めて平静を装い、聞き流した。だが、胸の奥で小さなざわつきが生まれた。

■都会の孤独

 業務改革という荒波の中にいる一方で、長島はもう1つの個人的な悩みに苦しんでいた。それは、身を切るような「孤独感」だった。

 土曜日の今日、彼は自宅に籠もり、動画サイトで日本のドラマ『教場』を一気見していた。

 台北での生活は、会社と自宅の往復に終始している。夕食は、前任の山本氏から教わった和食屋か、馴染みの牛丼屋。運動不足で体重は5キロ増えた。

 健康を案じる妻からは「街を歩いてみたら」と勧められるが、台北の容赦ない暑さがそれを拒ませる。結局、涼しいMRT(地下鉄)に乗って、空調の効いたデパートを目的もなく彷徨うのが関の山だった。

 誰とも仕事以外の接点がない。

 「そう言えば…」ふと思いついて、長島はカバンから1枚のパンフレットを取り出した。

 先日、営業に来た人物から手渡された「日本人駐在員向け研修」の案内だ。その時はプロジェクトのことで頭がいっぱいで、右から左へ聞き流していた。

 パンフレットに記された説明を真剣に読んだ。この孤独を埋めるための「何か」が見つかるかもしれない。

 

/date/2026/10/27/30_kintone_2.jpg

オフィス業務にkintone

●詳しくはこちら

https://www.ys-consulting.com.tw/service/it/kintone.html

宇都宮武則

宇都宮武則

ワイズコンサルティング社システム室長兼ワイズシステム社チーフシステムエンジニア

 前職ではIT企業の副総経理を努め、50社以上のシステム構築に携わる。2015年よりワイズコンサルティングに入社し、社内ではITに関するドラえもんと呼ばれている。クライアントのIT課題に豊富な経験を活かしたソリューションを提案している。SAP HANA導入コンサルから、リーズナブルなシステム化までクライアントの要望に対応が可能。(言語)日本語◎・中国語△

経営者が踏み出す”かんたんDX”

情報セキュリティ資格を取得しています

台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。

▲