記事番号:T00130932
■産声と「動作確認」
kintone(キントーン)教育訓練は最終日を迎えた。この日は、自分たちが設計した申請アプリに「命」を吹き込み完成させる日だ。
自らもアプリ作りに励む李経理は、ふと手を止めてメンバーの様子を伺った。ハルは苦戦しているらしく、講師がマンツーマンで粘り強く指導している。コウはアプリの微調整を繰り返し、モエとメイはお互いの画面を覗き込みながら、楽しげに意見を交わしていた。そしてケイは驚くべきことに、すでにアプリにテストデータを入力し挙動を確認していた。
そのとき李は会議室の小窓に人影を見た。営業部長の劉協理だ。目が合うと彼はそそくさと立ち去っていった。
「皆さん、アプリが出来上がってホッとしたでしょうが、ここからが本番です」講師の言葉に、全員が背筋を伸ばした。スライドに映し出されたのは『動作確認』の文字。
「アプリは作って終わりではありません。不具合はないか使い勝手はどうか。それを磨き上げるのがこの工程です」
手順は2段階。まずは作成者本人が確認する「セルフテスト」。そして2段階目は、2人1組でアプリを交換し、ユーザーの視点で触り倒す「クロスチェック」だ。本人が気づかなかった死角を見つけ出すため、会議室には再び、心地よい緊張感と議論の声が響き始めた。
■父親のような笑顔
教育訓練は確かな手応えがあった。わずか2日間で、みんなが自力でアプリを組み上げた事実は重い。李は迷わず、報告のために総経理室のドアを叩いた。
「どうぞ」招き入れた長島総経理の顔には、期待と不安が入り混じっている。待ちきれない様子で「どうでした?」と尋ねたその一言には、プロジェクトの成否を案じる切実な想いが詰まっていた。
李は言葉で飾るよりも事実を見せることを選んだ。「教育訓練は大成功でした。百聞は一見に如かず。…実際のアプリをご覧入れますわ」
期待通りの答えに、長島の顔は一気にほころんだ。嬉しさのあまり顔中をくちゃくちゃにして笑うその姿は子供の成長を喜ぶ父親のようでもあった。
■報告に混じる熱量
そこへ秘書が2杯の甘いコーヒーを運んできた。その後ろに劉が立っている。長島は「劉協理も一緒に」と手招きし、彼をデスクの傍らへ招いた。
劉は唐突に語り始めた。
「実は、営業部でも話題になっていましてね。プロジェクトに参加しているケイの『日報』が、最近変わったんですよ」
営業部では毎日、全員が活動報告をメール共有している。ケイの報告には、プロジェクトでの苦労が綴られつつも、常に「新しい発見」と「学ぶ楽しさ」が溢れているという。
デジタル化という無機質な言葉の裏側で、確実に「人」の心が動き、組織が少しづつ変わろうとしている。その予感が、部屋に満ちるコーヒーの香りと共に、温かく胸に広がっていった。

オフィス業務にkintone
●詳しくはこちら
宇都宮武則
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722