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第177話 ゼロからのデジタル化(16)迷宮の指南書と雛形の魔法


コラム 経営 作成日:2026年9月15日

経営者が踏み出す”かんたんDX”

第177話 ゼロからのデジタル化(16)迷宮の指南書と雛形の魔法

記事番号:T00130798

■迷宮の入り口

 kintone(キントーン)の教育訓練を李経理に託した長島総経理は、別の大きな課題に直面していた。「デジタル化から、1人の社員も取り残さない」という自らの誓いだ。どうすれば、全社員のITリテラシーを底上げできるのか。李や劉協理に意見を求め、本社の同僚にまでメールを飛ばしたが、返ってくるのはどれも教科書通りの回答ばかりだった。

・専門講師による「ITリテラシー講義」の実施

・eラーニングの導入と修了試験

・社外研修センターへの通学支援

(これじゃない…。これでリテラシーが向上する姿がイメージできないんだ)知識を詰め込むだけの座学では、現場の「拒絶反応」は消えないだろう。長島は、再び解決策の見えない迷宮の入り口に立たされていた。

■秘密兵器「雛形」

 一方で、kintoneの教育訓練は3日目という佳境を迎えていた。5人のメンバーと李は整理された業務フローの中から1人1種類を担当し自力でアプリを組み上げる実習に入った。

 ここで講師が、李と事前に打ち合わせていた「秘密兵器」を披露した。「皆さんが迷わずアプリを作れるよう、『申請アプリの雛形』を用意しました。これをコピーして使いましょう」

 講師が画面に映し出した雛形には、前日に全員が頭を抱えた「複雑な決裁プロセス」や「閲覧権限の設定」が、あらかじめ完璧に組み込まれていた。「これを使えば、皆さんは『申請画面のレイアウト』に注力するだけでアプリを完成させることができます」

 講師の手本を見ながら、メンバーたちは目を輝かせた。難解な裏側の設定をスキップし、自分たちが考え抜いた「使いやすい画面」を作ることに集中できる。講師は1つ1つの手順を、全員が納得するまで丁寧に解説していった。

■四角い窓の向こう側

 「はい、それでは皆さんの番です。雛形をコピーして、それぞれのアプリを作ってみてください。行き詰まったらすぐに呼んでくださいね」講師の合図とともに、会議室は心地よいタイピング音と熱気に包まれた。

 今日も長島は、執務の合間に会議室の四角い小窓から中の様子を覗き込んだ。李が真剣な表情で挙手し、講師を呼び止めている。ケイは1度も顔を上げず、驚異的な集中力で画面に向かっている。一方で、ハルは首を傾げたり髪をいじったりと、どうやら苦戦している様子だ。(頑張れ…)長島には、彼らを見守ることしかできない。

 しかし、その四角い窓の向こうで、昨日まで普通の事務職だった彼らが、自らの手で「会社の未来」を組み立てている。その事実に長島は言葉にできない確かな手応えを感じていた。

 

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オフィス業務にkintone

●詳しくはこちら

https://www.ys-consulting.com.tw/service/it/kintone.htm

宇都宮武則

宇都宮武則

ワイズコンサルティング社システム室長兼ワイズシステム社チーフシステムエンジニア

 前職ではIT企業の副総経理を努め、50社以上のシステム構築に携わる。2015年よりワイズコンサルティングに入社し、社内ではITに関するドラえもんと呼ばれている。クライアントのIT課題に豊富な経験を活かしたソリューションを提案している。SAP HANA導入コンサルから、リーズナブルなシステム化までクライアントの要望に対応が可能。(言語)日本語◎・中国語△

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