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第6回 広達電脳 林百里董事長


コラム 経営 台湾事情 作成日:2007年7月16日

台湾流経営策略 台湾の名経営者

第6回 広達電脳 林百里董事長

記事番号:T00001515

 
 世界最大のノートパソコン設計・ODM(相手先ブランドで設計から製造までを担当)メーカーの広達電脳(クアンタ・コンピュータ)は1988年設立。06年に米フォーチュン誌の「世界トップ企業500社」に選出された。同社の成長を引っ張ってきたのが技術に明るい林百里董事長だ。
 
 97年、米デルが広達をOEMパートナーに選んだ際の理由が、「技術が最もしっかりしている」だった。広達は500人からなる研究開発(R&D)部隊を抱え、経営陣の大部分が技術部門出身という事実からも分かるように技術重視の社風だ。林董事長自身、58歳になった今も、真っ暗な部屋の中でパソコンを分解し再度組み立てられるという特技の持ち主だ。若い時はこの技を顧客の前で披露して、受注を取り付けたエピソードも残している。

 広達はERP(企業資源管理)などのソリューション導入も早かった。インターネットを利用して供給チェーンの最適化を図り、製品を広達から直接エンドユーザーに供給するシステムを確立。米デルのウエブサイトでは、ユーザーがノートパソコンを発注すると10分後にはスペック情報が広達に伝わり、2日後に物流会社に渡し、3日後に米国のユーザーの手元に届くという効率の良さだ。「他社より一歩先に改善する」という哲学が、海外大手メーカーからの受注を集め続けている。


「カメ哲学」と企業文化

 技術と効率ではスピードを求めてやまない広達だが、林董事長は「カメ精神」の経営精神を説く。すなわち、「カメのように謙虚に、一歩一歩前に進もう」というものだ。

 かつて広達社内で株式の上場計画が持ち上がった時、林董事長は顧客の分散化と経営チームの安定化を優先するとして譲らなかった。また、台湾のハイテク業界では、優秀な従業員を確保するためにボーナスとして自社株を配る習慣が一般的だが、広達は上場前はこれを頑としてやらなかった。「企業の原動力は良い製品を作って顧客から評価されることであり、いくらもうけるかではない」というわけだ。


SSDMMを推進
 
 同社が現在取り組んでいるのが、SSDMM(System Solution Design Manufacturing and Move/システムソリューションの設計製造および物流プラットフォーム)の業務モデル導入だ。

 ODMが個別の製品を提供するだけであるのに対し、SSDMMはシステムソリューションをも提供することが最大の違い。「システムソリューション」「設計・製造」「物流・供給チェーン管理」の3部分からなり、各地の拠点を有機的に結合して、顧客に対し最適のスピードでの設計・製造、および出荷を実現しようというもので、さらなる競争力強化を目指す。


QRDCをR&Dの中心拠点に
 
 同社は台北県林口に40億元を投資して広達研発園区(QRDC)を設置し、台湾での長期投資およびハイテク深耕の意図を示している。将来的には7,000人の従業員が働くグループのR&Dの中心拠点とする意向で、高付加価値製品のR&Dなどを行う。


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