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第2回 王品連鎖餐飲集団董事長 戴勝益氏


コラム 経営 台湾事情 作成日:2007年6月14日

台湾流経営策略 台湾の名経営者

第2回 王品連鎖餐飲集団董事長 戴勝益氏

記事番号:T00001063

 
「亀毛味」のレストラン王国 王品連鎖餐飲集団 戴勝益董事長


 王品台塑牛排(ステーキ)、西堤牛排、創作和風料理の陶板屋、北海道昆布鍋の「聚」など、今や10ブランド70店の台湾最大の飲食レストランチェーン王国を築き上げた王品連鎖餐飲集団の企業文化は、「細かいことにこだわる」という意味の台湾独自の中国語で「亀毛」と表現される。


「遅刻したら1分当たり100台湾元の罰金」「交際費なし」「株式投資禁止」「不倫禁止」「上級幹部は毎日1万歩歩かなければならない」「自動車を買う場合、総額100万元を超えてはならない」など、まさに「超亀毛」の会社だ。

2004年にグループの最高規範として18条からなる「王品憲法」を制定し、上は董事長から下は掃除夫まで例外なく適用している。

戴董事長自身も、会議の時間の記憶違いで2時間遅刻した際、1万2,000元の罰金を払ったことがある。

 王品憲法の第一条は、「企業から100元以上の接待を受けてはならない」で、破れば解雇だ。

一度ある女子社員が取引先から干し牛肉ひと袋をもらい、会社に帰って同僚たちに分け与えた。

「100元以上のものをもらうのは禁止事項で首になる」と注意した同僚もいたが、女子社員は「まさか」と信じなかった。しかし、彼女はこの後本当に首になってしまう。

 戴董事長は、「金額の多寡は問題でなく、社員に『つけこもう』という心理が生まれることが許せないのだ。これをしないと規律は保てない」と語る。

このほか、「社員は親族を入社させ役職につけることはできない」「社員の親族と業務上の取引は行えない」などの規定もある。財務、人事、調達は徹底的にオープンにされている。


●報酬は直ちに与える

 こうした厳しい規律を求める社風ではあるが、中堅以上の幹部になると離職率は極端に低い。これは、戴董事長の「報酬は直ちに与える」方針によるものだ。

「会社が今月の利潤を旧暦の年末になってようやく還元するのと、すぐ翌月に口座に振り込むのとどちがいいか」。考えてみれば答えは明白だ。

 王品グループでは新しい店ができる際、店長、コック長以上の幹部(地域経理、総管理処協理、総経理、副董事長、董事長)らは既定の比率に応じて株式の購入が認められ、出資比率に応じて利益の分配を受けられる。

出資比率は店長は11%まで、コック長は7%までで、店に1カ月100万元の利益が上がれば店長は11万元の配当を得られるのだ。

 また、グループの拡大を促すため、新規店の店長に異動になった既存店の店長に対し、新規店での出資比率11%はもちろん、既存店に対する3~5%の出資権の維持も認めている。

こうした出資による分配にあずかれない低役職の幹部や一般社員たちに対しても、所属店が一定の利益を上げた場合、毎月の最終利益の23%を分け与えている。

こうしたシステムは社員たちのやる気を大いに引き出している。


●毎年新規ブランド2件

 王品の財務運営は極めて慎重で、「借金ゼロ」が原則だ。グループ全店の原材料購入はすべて現金支払いで、小切手は認められていない。

各店で調達明細をコンピューターにインプットすれば銀行から直ちに取引先の口座に現金が支払われるシステムができあがっている。

このため、調達コストは同業他社に比べて20%以上低く、グループ各店の粗利益は20~30%と一般的なレストランの10%を大幅に上回っている。

 王品のグループ拡大に向けた「寝覚めた獅子」計画では、毎年新たに2件の新規事業を始めることになっている。

生き残れる確率が50%だとしても30年間で30ブランドとなる。王品グループの勢力拡大はまだまだ続きそうだ。  
 
 
ワイズコンサルティング 荘建中


参考:第54回 王品連鎖餐飲集団董事長 戴勝益氏(2)

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