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第3回 女性に大人気のハイテク企業 奇美グループ創業者 許文龍氏  


コラム 経営 台湾事情 作成日:2007年6月21日

台湾流経営策略 台湾の名経営者

第3回 女性に大人気のハイテク企業 奇美グループ創業者 許文龍氏  

記事番号:T00001120

 
「北の台プラ、南の奇美」と称される奇美グループは、2004年に引退した創業者・許文龍氏による、社員重視の独特の経営哲学が受け継がれている。 

 奇美グループを際立った存在にしているのは、「企業活動は幸福な人生を追求するためにあり、利潤を追求して幸福な人生を犠牲にするためではない」という明確な哲学だ。

定時帰宅を奨励
 
 許氏は週休2日が一般的でなかった高度成長時代の二十数年も前に、いかに週休2日を実現するか、経営幹部たちに研究するよう指示している。幹部たちは半年かけて議論を重ねたが、「経営コストが大幅に増加してしまう」という結論だった。しかし、許氏は1988年の創立25周年の運動会で、週休2日制の導入を率先して宣言したのだった。これは公務員の週休2日導入よりも13年も早い。

 また、「仕事のために貴重な家庭生活を犠牲にするな」と社員の定時帰宅を奨励しており、管理職社員がその旗ふり役を務めている。午後5時の退社の音楽とともに、社内は残業する数人を残してほとんど空になってしまうという。

 社員の6割が女性というのも奇美グループの大きな特徴で、女性にとっていかに働きやすい環境をつくるかの追究に余念がない。授乳室の整備を社則で定めているほか、01年に2億台湾元を投じて台南科学園区付近に設けた「活水2カ国語託児所」では、午後8時半まで子供を預けられるため両親は安心して仕事ができる。女性の生理休暇は両性工作平等法で定められた12日の2.5倍の、年間30日まで認められる。こうした措置によって、 奇美電子(CMO)の女性管理職者の割合は32.6%とハイテク企業としては異例の高さになっている。

 「社員のリストラをしない」ことも重視している。景気が悪化して事業部門を撤廃することはあっても、首切りは行わない。こうした社員重視の姿勢が経営への信頼感を生んでおり、離職率は低く、「入社15年ではまだ新人」という言葉が生まれたほどだ。

 許氏は部下に十分な権限を与えるタイプだ。グループが十分育ってからは各子会社の経営に立ち入らず、会社には週に2回来て報告を聞いたり決定を下すことだけに専念して、あとは釣りをしたり、絵を描いていたりした。業務で問題が起きた時、許氏は「責任追及」ではなく、常に「回答を探す」という態度だったため、「信賞必罰」ではなく、「いかに正しく仕事をするか」かが企業カルチャーとなった。

十大ブランド目指す 
 
 社員重視は社会重視と同等だ。奇美が大幅な利潤を上げたある年、許氏は「稼ぎ過ぎは問題だ」と川下メーカーに利潤を還元した。石油ショック発生で原料価格が1トン当たり1,800米ドルまで上昇した時、許氏はそれらを1,200米ドルで川下メーカーに供給し、危機を乗り切らせたのだった。奇美医院や奇美博物館の設置など、福祉・文化活動にも力を入れている。

 かつての石油化学から、ハイテクが核心事業となった奇美において、技術力とコスト競争力が重視されるのは当然だが、許氏は「ブランドがなければ生き残れない」という考えも明確にしている。昨年「CHIMEI」ブランドで再出発し、欧州では早くも液晶モニターの著名ブランドになりつつある。今後は中国と北米市場で販売を拡大し、3年以内に台湾の十大ブランドに躍進する考えだ。            
              
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