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第1回 郭台銘 鴻海精密工業董事長


コラム 経営 台湾事情 作成日:2007年6月7日

台湾流経営策略 台湾の名経営者

第1回 郭台銘 鴻海精密工業董事長

記事番号:T00000953


 木曜日掲載の「台湾流 経営策略」では、弊社の台湾人コンサルタント・荘建中が、台湾の経営者・企業が事業を成功に導いた事例にスポットを当て、その手法を解説していきます。

「策略」は中国語で日本語の「戦略」に当たり、企業経営でよく使う用語です。

第1回目は、「EMS(電子機器受託生産サービス)帝国」を築き上げた、鴻海精密工業の「鉄人」董事長、郭台銘氏の経営策略を紹介します。


●鴻海精密工業の業績

鴻海精密工業の2006年の売上高は1兆3,000億台湾元、利益は910億元に上った。

過去10年で売上高は56倍、利益は38倍、株価の時価総額は16倍に達した。

今年の目標売上高は2兆元で、台湾プラスチックグループを抜いて売上高で台湾最大の企業グループになる可能性がある。

この成長は、まさに郭台銘董事長の強力なリーダーシップなしには全くあり得なかったものだ。


●厳格な社風

 「研究室を一歩出たらハイテクは関係ない。実行の規律があるだけだ」。

郭氏の「名言」として知られている言葉だ。

鴻海の社風は厳格で、信賞必罰が徹底している。

いい加減さやごまかしなど大組織の病弊が生じないようにするためで、幹部には厳しい責任感が求められる。

郭氏は「私の辞書には『管理』の2文字はない。

責任感を持つ者に管理は必要なく、持たない者には管理など無用だからだ」とも語っている。

 一方で能力ある人材を積極的に登用して好待遇で用いる文化があり、これこそが台北県の従業員10人の白黒テレビのチャンネル製造工場を、30年で従業員16万人のEMS帝国へと成長させた大きな理由だ。

経理クラスの管理職社員の年収は約300万元、副総経理クラスになると1,000万元近くになり、電子業界では最高水準だ。

かつて推進した光通信の「フェニックス計画」では、メディアを通じて年収1,000万元でエンジニアを募集したこともある。

昨年の春節(旧正月)の従業員の忘年会では福引きの賞品総額が4億元に上り、一等「総裁賞」の同社株券360枚は時価換算で5,100万元に上った。

 こうした大判振る舞いは、従業員に厳しく成果を求めることの裏返しだ。

「ボーナスを出す時は辞めさせる時だ」も郭氏の有名な言葉で、「赤字を出し始めたらリストラをする」とはっきり語っている。


●顧客に密着即応

 鴻海が海外大手の信頼を得ている理由の一つに、重要顧客の製造拠点の近くに研究開発(R&D)センターを設けて、テスティングなど新製品開発に全面協力し、製品の迅速な量産・発売を可能にしている点がある。

インテルが新世代CPU(中央処理装置)を開発した際も、鴻海は共同で同製品向けのコネクタシステムを開発。

これによって、マザーボードも鴻海グループの富士康(フォックスコン)が製造指定を受けた。

顧客に近い場所にR&D拠点を設けることで、設計変更の指示を受けたり、鴻海が開発した製品に認証を受ける際にほとんどタイムラグが生じず、開発スケジュールの最適化が可能となる。

 新製品が認証を受ければ、アジア、北米、欧州の生産拠点で、調達、製造、品質管理の展開力をフルに生かし、製品需要が高まった場合、直ちに生産能力を拡大させることができる。

 アップルコンピュータがiMAC2を発表した翌日、全世界から10万台の注文が舞い込んだ。

同社は各OEM(相手先ブランドによる生産)メーカーの対応力を検討した結果、最終的に鴻海に発注を決めた。

郭氏は「この業界に景気の良し悪しは関係ない。競争力の強い弱いがあるだけだ」と「鉄人」らしい言葉を語っている。
 

ワイズコンサルティング 荘建中

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