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第11回 蔡衍明 旺旺集団董事長


コラム 経営 台湾事情 作成日:2007年8月20日

台湾流経営策略 台湾の名経営者

第11回 蔡衍明 旺旺集団董事長

記事番号:T00002175

 米菓子「旺旺」で知られる旺旺集団の蔡衍明董事長は、今年の米誌「フォーブス」の世界長者ランキングで台湾7位にランクされ、資産は10億米ドルに上る。旺旺は経営不振の食品委託生産会社からスタートし、中国で大成功を収めて世界最大の米菓子メーカーへと成長した。

 蔡氏は子供の頃から勉強嫌いである一方、街で仲間と遊びグループのリーダーになることが好きだった。成功した今、「学歴無用」の考えを確信し、子供たちも大学に行かせておらず、人材活用にも学歴は全く関係ない。「高学歴の人はむしろ安定性がなく、低学的の人こそより確実に自分を認識できる」という信念を持っている。

 30数年前、高校を卒業しないまま19歳になっていた蔡氏は、父親が落札した宜蘭食品を経営することにしたが、1年もたたないうちに1億元もの赤字を出してしまう。

 その後、新潟県長岡市の米菓メーカー、岩塚製菓の技術協力を仰げることが2年間の交渉を経て決定し、これが大きな転機となった。旺旺せんべいを低価格で売り出し、台湾では寺廟のお供え物の市場を開拓するなど、シェアを拡大していった。

危機対応が成功の鍵に   

 1992年には中国に進出した。進出先は大胆にも内陸部である湖南省の省都、長沙市を選んだ。当時、長沙では旺旺が初の進出外資で、沿海部よりも当局からの優遇が多く得られるだろうという計算だった。当時、中国ではまだ米菓子は珍しく、大型の食品展示販売会などを通じて知名度を高めていった。

 ある時、コンテナ300個分余りの大量の注文を受けたことがあった。2カ月近く昼夜分たず生産して、さあ出荷となった時、何と発注したメーカーから契約通りの製品の引き取りを拒否されてしまった。知名度も不十分な中国でこれだけ大量の商品を売るのは非常に難しく、3カ月かかってコンテナ10数個分を処理できただけだった。間もなく賞味期限を迎える400万袋のせんべいを前にして、メーカーによっては損失を抑えるために投げ売りしたところだが、蔡氏は「それをしたら今後の市場開拓にマイナスになる」と考えた。

 蔡氏の決定は、上海や広州、南京、長沙など大都市の、小学校から大学までの各学校に、旺旺を無料で配るというものだった。この奇想天外な発想はかなりの広告効果を生んだ。

 「農村から都市を包囲する」。中級都市に絞って工場を建設したのも、蔡氏の中国での成功の鍵になった。労働コストを安く利用できるためだ。工場は大規模に作ることは避け、3カ月で完工、早ければ半年、遅くとも1年で量産できるようにした。今や旺旺は中国26省・自治区・直轄市に111カ所の工場を持つに至り、市場近接のメリットを存分に発揮している。また、販売店、卸売りメーカーに対し、賞味期限が切れた商品の返品を無条件で応じ信頼を獲得し、消費者にも必ず新鮮な商品を食べてもらう仕組みを作り上げたことにより、中国では良好なブランドイメージを維持している。

 こうした中国での成功によりシンガポール市場への上場にも成功した旺旺だが、蔡氏は今でも技術移転に協力した岩塚製菓の当時の社長を「事業の父」と呼んでいる。現在岩塚産業が保有している旺旺の5%の株式は、金額にして31億台湾元(約107億円)にも上っている。

ワイズコンサルティング 荘建中

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