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第14回 台達電子工業 鄭崇華董事長


コラム 経営 台湾事情 作成日:2007年10月5日

台湾流経営策略 台湾の名経営者

第14回 台達電子工業 鄭崇華董事長

記事番号:T00003000

 
 世界最大の電源アダプタメーカーである台達電子工業は(デルタ・エレクトロニクス)1971年の創立で、94年以降、総売上高は7倍に成長した。07年1~8月の連結売上高は823億1,100万台湾元(約2,950億円)で、昨年同期比で25%の成長を遂げ、外資投資家の最も好む株式銘柄の一つでもある。鄭崇華董事長の環境重視の経営理念が独自の企業文化を形作っている。
 
 鄭董事長は早くから省エネルギーの重要性に気づき、無鉛製造プロセス導入や製品の回収・再利用実施、廃棄物管理計画など環境保護を重視した経営を行って、「省エネ教主(ゴッドファーザー)」の異名を取った。「台達電のアダプタの性能が1%向上すれば、原子力発電所1基を節約できる」という言葉から、同社のアダプタのシェアの大きさが見て取れる。
 
 同社が05年に南部科学工業園区に設置した新工場は、内政部から「最優秀グリーン建築大賞」を受賞した。環境建築工法にのっとって、エネルギー節約効果を31%、節水効果は40%高めた。太陽エネルギー発電を導入した中庭には350本の木々が植えられ、野鳥や昆虫に格好のすみかを提供している。建設コストは一般の工場より多くかかったが、鄭董事長は「今後節約できるエネルギーやその他の効果を考えれば、コストが高いとは言えない」と胸を張る。

 社員に正直さ、廉潔さを求めるのも同社のカラーだ。リベート受け取りは厳禁で、風紀の乱れた場所に足を運ぶことも禁止。「いかがわしい所に行くような顧客は、我々の求める顧客ではなくいらない」とまで断言する。この社風のため、「夫が真面目な生活を送るため、奥さんにとってうれしい会社」という評判が立ったことがある。

 鄭董事長と一緒に出張した台達電の幹部は、鄭董事長に「どこか面白い所はないかね」と尋ねられても決して一緒に行動することはない。なぜならば、一緒にいると話題はすべて仕事のことばかりだからだ。ただ、こうした没入ぶりは社員たちから尊敬され、愛される理由でもある。

厳格な品質要求
 
 鄭董事長は革新を好み、他のメーカーが一気に参入するような製品・技術に立ち入ることは、価格競争を悪化させるだけと考えているためできる限り避ける。こうした主義の下、独自の製品の研究開発(R&D)を不断に続けたことが、台達電が電源アダプタで業界をリードするようになった最も大きな理由だ。

 鄭董事長の品質に対する要求は厳格で、「最初の1回でうまくやれ」がモットーだ。設計担当の社員には顧客の需要を十分に理解させ、着手の前に十分に考えさせる。過去に起きた問題を再発させず、1回でうまくやることが、顧客の信頼と尊敬を得る道と考えているのだ。規定に従って設計するエンジニアには、その規定の意味は何なのかを深く考えさせる。こうした品質にこだわる姿勢が、かつて米マイクロソフトからの「最優秀パートナー賞」受賞につながったこともある。

 台達電は創業から35年以上がたつ決して新しいとはいえない企業だが、鄭董事長のリーダーシップの下、進歩と完全無欠、完全なる顧客満足を常に追い求めている。こうしたポリシーが世界数多くの電子、IT(情報技術)企業から信頼を受ける土台になっている。

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