第182話 ゼロからのデジタル化(21)霧の中の対話 - ワイズコンサルティング@台湾
HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

第182話 ゼロからのデジタル化(21)霧の中の対話


コラム 経営 作成日:2026年10月20日

経営者が踏み出す”かんたんDX”

第182話 ゼロからのデジタル化(21)霧の中の対話

記事番号:T00131422

■「自分事」への導火線

 長島総経理は長いこと全社員のITリテラシー向上の施策を考え続けていた。

 週末の息子が語った「教室の掃除」の話が彼の脳裏で巡っていた。

 長島は李経理を呼び寄せ、着想をぶつけた。「決めたことを押し付けるのではなく、本人たちに不便さを自覚させて、気づかせる方策はないだろうか」

 李もまた、組織の綻びを予見していた。「底上げができなければ、『不慣れ』を盾にITを避ける社員が出ます。そうなれば、不慣れな者の分まで仕事を押し付けられる『使いこなせる社員』が損をする不合理が生まれるでしょう」

 「それは最悪だ」と長島は頷き、議論を深めた。「座学の研修はダメだ。自分事に感じてもらえない。誰しも日々の業務に不便を感じているはずだ。まずはIT抜きでもいい、理想の仕事の進め方を議論させるキッカケを作らないか」

 1時間の打ち合わせを終えたとき、長島の頭を覆っていた霧はわずかに晴れ始めていた。

■消えない「エクセルの影」

 一方、活気付いていたはずのプロジェクトチームには重苦しい空気が漂っていた。

 kintone(キントーン)の教育訓練でアプリの形はできたものの、いざ実務を想定して「動作確認」を行うと、次々と不具合が噴出したのだ。

 不具合は2つの壁となって立ちはだかった。1つは、レイアウトの配置不備や動作不良といった「アプリ本体」の問題。もう1つは、実務に当てはめると矛盾が生じる「業務フロー」の問題だ。

 メンバーのコウが担当していたのは全社員の6割が関わる、月末の「費用精算」アプリだった。この月末の「費用精算」の煩わしさは長島も問題視していたことである。

 そこにハルが加わる。フロー図を眺めていたハルが、ふと指を止めた。

ハル「ねえコウさん。このフローだと、これまで通り『エクセルの精算表』に記入してから、そのファイルをkintoneに添付することになってるよね?」。

 パソコンを操作する手を止めてコウは、こう言い放った。「そうだよ。それが今のやり方だから」

 ハルが間隔を空けずに言った。「…でも、それならエクセルは要らなくない? 直接kintoneの入力画面に打ち込めば済む話だよね」

 コウはハッとしてフロー図を見直した。kintone側の設定や承認ルートのことばかりに気を取られ、入力元である「エクセル」という無駄な工程をそのまま残してしまっていたのだ。

  「木を見て森を見ず」とはこのことか。

 このようにアプリ開発の進捗は、3歩進んでは1歩戻る、もどかしい足踏みを続けていた。

 

/date/2026/10/20/30_kintone_2.jpg

オフィス業務にkintone

●詳しくはこちら

https://www.ys-consulting.com.tw/service/it/kintone.html

宇都宮武則

宇都宮武則

ワイズコンサルティング社システム室長兼ワイズシステム社チーフシステムエンジニア

 前職ではIT企業の副総経理を努め、50社以上のシステム構築に携わる。2015年よりワイズコンサルティングに入社し、社内ではITに関するドラえもんと呼ばれている。クライアントのIT課題に豊富な経験を活かしたソリューションを提案している。SAP HANA導入コンサルから、リーズナブルなシステム化までクライアントの要望に対応が可能。(言語)日本語◎・中国語△

経営者が踏み出す”かんたんDX”

情報セキュリティ資格を取得しています

台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。

▲