記事番号:T00126410
■TSMCの指定業者
クレーン作業の最大手、啓徳機械起重工程は、市場シェア50%以上、年間売上高は推定30億台湾元以上で、アジアの機械輸送業界で上位3位以内です。ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)をはじめ、半導体メーカー大手が指定する唯一の業者です。
半導体だけでなく、石油化学、風力発電、公共工事など顧客は多岐にわたります。台湾の多くの重要な大型建設現場で、同社のシンボルである鮮やかな黄色のクレーン車を目にします。
■0.5元の線香がお告げ
「竹北(新竹県)のクレーン王」の異名を持つ董事長の胡漢龑氏は、父親が1975年に設立した同社を継承しました。
父親の胡鵬飛氏は、元空軍の工兵の士官長(曹長に相当)でした。退役後、クレーン作業の現場責任者を務めていた当時、事故で重傷を負いました。生活は困窮し、一時は自ら命を絶つことも考えました。
手元に残っていたわずか5角(0.5元=約2円)で線香1本を買い、女神「瑤池金母」に不遇を嘆き、訴えたところ、夢の中で「体を大切にし、歯を食いしばって起業しなさい」とお告げを受けました。
お告げに突き動かされ、方々から借金して中古クレーン1台を購入し、新竹県で同社を設立しました。
1979年に新竹科学園区(竹科、新竹サイエンスパーク)が設立されると、胡鵬飛氏は借金を厭わず、巨額の資金を投じて西ドイツの技術を導入しました。これにより、TSMCや聯華電子(UMC)、メモリー大手の旺宏電子(マクロニクス・インターナショナル、MXIC)、台湾茂矽電子(モセル・バイテリック)などのニーズを捉えました。
現董事長の胡漢龑氏も15歳から現場に入り、父の傍らでクレーン操作や玉掛け、機械操作などの技術を徹底的に叩き込まれました。
■振動ゼロの技術力
胡漢龑氏の成功戦略は、技術のリードと設備投資です。不況でも数十億元を投じて、世界最大の建設機械メーカー、独リープヘルから世界最先端の超大型クレーンを導入するなど、毎年、設備を更新しています。
同社の転換点は、台湾の半導体産業の成長に足並みを揃えたことでした。EUV露光装置など、半導体製造装置は極めて精密かつ高額で、搬送過程でのわずかな振動も許されません。同社は、気圧式緩衝装置(エアサスペンション)と卓越した技術で、難易度の高い工程を完遂し、テック業界の設備輸送市場を事実上独占しました。
TSMCなどとの長年の協力関係と土地の取得が、同社に驚異的な収益をもたらしました。
■妻4人と子供14人
私生活では、「妻が4人、子供が14人」という大家族でも知られています。各階の広さ200坪、8階建ての豪華絢爛な邸宅は「竹北のルーブル美術館」と呼ばれています。6億元を投じて建設しました。
妻4人にそれぞれ1フロアを与え、平等性とプライバシーを確保しています。邸宅内には、200坪の社交室があり、最上階には家族が一緒に使える巨大な浴槽とシャワールーム4室があります。
重婚の疑いに対し、胡漢龑氏は「身分証の配偶者欄は20年以上空白だ」と語っています。第一夫人との「偽装離婚」や、全ての妻への手厚い物質的補償で、法律と感情の間でバランスを取っています。
台北市にも高級住宅を保有し、資産の一部を妻の名義に書き換え、将来の保障としています。支援の対象は妻子だけでなく、妻の親族も含まれます。妻の両親に小遣いを月3万元渡しているほか、妻の家族や親戚が訪れた際の飲食費4万~5万元、日常生活での大きな買い物まで、胡漢龑氏が全額負担しています。
■クレーン展示の博物館
新本部「啓徳のホワイトハウス」が2025年末に完成しました。用地16ヘクタールに、40億元を投じて建設しました。貝殻細工の会議テーブル(300万元相当)など豪華絢爛です。
併設の重機博物館には、アジア最大の2200トンクラスのクレーン(3億8000万元相当)や、米国から導入した世界最高104メートルのはしご車(6000万元相当)などを展示しています。
「世界一美しい本部」を目指し、桜の木を1000本以上植えています。休日には無料で一般開放し、1日で数万人が訪れます。
台湾のインフラ市場が飽和に近づく中、同社は2026年、都市交通システム(MRT)工事や橋梁の吊装などにも参画し、ハイテク工場で培った技術を国家のインフラ建設へと広げていきます。
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