コラム 経営 マーケティング 台湾事情 その他 作成日:2026年11月4日
ワイズ独自調査 3分でわかる!台湾市場トレンド記事番号:T00131685
皆様の時間を「ビジネスのヒント」へ。本コラムはワイズ独自調査から台湾市場のリアルを読み解きます。第28回は、SNSで「+1」の注文を集め、数がそろってから仕入れる小売モデルを取り上げます。こうした売り方をする「まとめる売り手」は、量販店・スーパー・コンビニの外にある販路として、台湾での売り先を考える日系企業にとって新たな選択肢になり得ます。
注文を先に集める売り手
「まとめる売り手」とは、消費者から先に注文を集め、数量が確定してから仕入れる小売事業者のことです。

ある住宅地の果物店は、毎日その日の果物をLINEのグループに投稿します。グループのメンバーは、表示名を「マンション名+部屋番号」にそろえています。これにより、メンバーが「+1」と書き込むだけで、店は注文した人と届け先をすぐに把握できます。あとは注文の数を見て翌日の仕入れ量を決め、取り置いた分をマンションの管理室へ届けるだけです。
台湾では以前から、Facebookで注文を集めてから仕入れる「団購主」(グループ購入のまとめ役)がいました。いまでは町の果物店のような小さな店も、同じ仕組みを使っています。注文が確定してから仕入れるため売れ残りが少なく、在庫を持って客を待つ従来の小売とは異なります。
夕方に買い物へ行けない家庭
こうした売り手が現れた背景には、共働きの広がりがあります。統計によると、子育て世代の有配偶女性の労働参加率は約8割に上ります。共働きが当たり前になり、夕方に買い物へ行ける人は限られるようになりました。共働きの家庭にとって、仕事の合間にスマートフォンで注文し、帰宅するころには食材が届いている買い方は、時間を取り戻す手段になっていると考えられます。
SNSと管理室が注文と受け取りを担う
この売り方が成り立つのは、注文と受け取りの仕組みがすでにあるためです。
注文を担うのは、SNSです。台湾ではネット利用者の9割以上がLINEを、8割以上がFacebookを使っています。売り手はLINEやFacebookのグループに投稿するだけで商品を知らせられ、客の「+1」の書き込みがそのまま注文になります。専用のアプリや通販サイトを作る必要もありません。
受け取りを担うのは、マンションの管理室です。台湾のマンションの多くには管理室があり、管理員が住民に代わって荷物を受け取ります。大規模なマンションでは、日中に2人以上の管理員が対応するところもあります。冷蔵庫や冷凍庫を備えた管理室なら、生鮮品も預けられます。
住民が留守でも届けられ、同じマンションの注文を一度に配達できるため、個人商店でも費用をかけずに予約配達が成り立っていると考えられます。
「まとめる売り手」を販路に加える
注文を先に集める売り手は、地域の顧客と直接つながっています。こうした売り手には、メーカーが直接卸すことも、販売代理店を通じて届けることもできます。小ロット・短納期で出荷できる体制を整えておけば、大手の売り場に並べる前に、消費者の反応を確かめられます。
店舗を構えて客を待つ小売だけが販路ではありません。注文を集める売り手と組むことは、台湾の消費者に近づく好機といえるでしょう。
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