コラム 経営 マーケティング 台湾事情 その他 作成日:2026年10月14日
ワイズ独自調査 3分でわかる!台湾市場トレンド記事番号:T00131310
皆様の時間を「ビジネスのヒント」へ。本コラムはワイズ独自調査から台湾市場のリアルを読み解きます。第26回は、急拡大する台湾のドローン輸出の担い手と、その先にある日系企業の商機に迫ります。
民生の量産力に、需要と政策が重なった
ドローン完成機の輸出額は2024年の441万ドルから、2026年は1〜9月だけで3億702万ドルに達しました。この急成長を支えているのは、軍需企業だけでなく、民生品の量産で育った企業です。
主要な参入企業を調べたところ、その多くは本来、ラジコン模型やプロジェクター、車載カメラ、EV用モーターなどのメーカーで、防衛産業とは縁の薄い企業でした。これらの企業がドローンに乗り出した背景には、「中国製でないドローン」と「政府の後押し」の二つの事情があります。

米中対立が生んだ「中国製でない」需要
米中対立を機に、「中国製でないドローン」を求める声が高まりました。前線で消耗されるドローンは大量に必要で、問われるのは安定した品質で数をそろえる力です。この力こそ、民生品メーカーが本業の量産で長く磨いてきたものでした。
模型メーカーは機体と動力、光学機器メーカーはカメラ、車載カメラメーカーは映像モジュール、EV用モーターメーカーはモーターと、各社は本業の技術を持ち込み、米国の防衛調達での受注や生産能力の拡大につなげています。
政府主導の連盟が海外への道を開く
経済部は2024年9月、ドローン産業の育成策の一環として、関連企業を集めた「台湾卓越無人機海外商機聯盟(TEDIBOA)」の設立を推進しました。企業が力を合わせて海外の受注を獲得することが狙いで、参加企業は、設立時の約50社から260社超(2026年1月時点)に増えています。
防衛分野や海外の調達に不慣れな民生品メーカーでも、連盟を通じて米国の調達に必要な認証の取得支援を受けられるほか、部品の売り込み先や欧州の買い手とも出会いやすくなります。
最後の壁は「素材」
民生品メーカーの量産力によって、機体そのものは台湾で造れるようになりました。しかし、部品まですべて台湾製でそろえられているわけではありません。経済部によると、台湾で造られた部品の割合を示す国産化率は、小型機で約7割、大型機では約3割にとどまります。
とくに遅れているのが、電池とモーターに使われる素材です。これらの素材は今も主に中国から調達されています。中国以外から調達することもできますが、電池の材料では価格が4~5割高くなるとされます。「中国製でないこと」を強みとする台湾製ドローンにとって、素材は最後に残った壁といえます。
経営へのヒント:「最後のピース」を日本の技術で埋める
この素材の壁こそ、日本の技術が生きる領域です。電池の材料や、中国産の原料への依存を減らせる磁石など、日本企業はこの分野で長く技術を蓄積してきました。実際に台湾のあるEV用モーター大手は、すでに日本メーカーから磁石を調達し、中国産レアアースからの切り替えを進めています。
注目したいのは、時間と機種の二つの条件です。台湾政府は2027年までに中国製の部品を含まない供給網を目指しており、素材の切り替えはこの1~2年が勝負です。また、2026年にはサウジアラビア向けに、1機平均1万ドルを超える高価格帯の機種も出荷されました。大型で高価な機体ほど台湾製の部品でまかなえる割合は小さく、中国製を避けるには、台湾で造れない素材を中国以外から調達するしかありません。台湾に拠点を持つ日系企業なら、現地で生産・供給できる点も強みになります。
時間と機種の両面で条件がそろういまこそ、日本の技術で台湾ドローンの「最後のピース」を埋める好機といえるでしょう。用途確認などの輸出管理体制を早めに整えておくことも、この商機をつかむための備えになります。
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