コラム 経営 マーケティング 台湾事情 作成日:2026年9月16日
ワイズ独自調査 3分でわかる!台湾市場トレンド記事番号:T00130824
皆様の時間を「ビジネスのヒント」へ。本コラムはワイズ独自調査から台湾市場のリアルを読み解きます。第23回は、拡大を続けるAI関連市場のトレンドと、本格導入フェーズに入った企業が直面している業界別のリアルな課題を深掘りします。
台湾におけるAI市場動向は、一部の企業による限定的な利用から、あらゆる産業を支える基盤技術へと移行しつつあります。
台湾AI市場の全体規模:基盤技術としての定着と拡大
台湾におけるAI市場規模は、AIハードウェア装置およびソフトウェアサービスの売上高で構成されています。2024年の6,104億台湾元から2025年には6,596億台湾元(前年比8.1%増)へと拡大し、2026年上半期も前年同期比12.9%増の3,446億台湾元と二桁成長を維持しています。
こうした市場拡大の背景には、企業側の導入フェーズの変化が挙げられます。試験的な利用から業務プロセスへの本格導入へと移行する企業の割合が、前年の29%から48%まで増加しました。
企業は主に業務効率化や人件費の最適化、自動化などを目的としています。パブリッククラウド環境の整備に加え、生成AIや代理型AIの導入に伴うIT投資が活発化したことで、情報サービス企業の受注と収益を押し上げる好循環が形成されています。

政府による導入支援と環境整備
AIの業務プロセスへの導入が着実に進む中、行政側も普及に向けた環境整備を展開しています。所管官庁は、資金や専門知識が不足しがちな中小企業に対してシステム提供企業とのマッチング機会を設けているほか、開発に必要な計算資源(演算処理装置など)の共同利用環境の構築を進めています。
新興企業に向けた100億台湾元規模の投資ファンド運用や公共データ活用を促す法整備なども通じ、産業全体で技術を活用しやすい土壌づくりを推進しています。
業界別の導入実態:ハード面の強みに対し、ソフトウェア運用の底上げが課題に
市場全体は成長傾向にあるものの、ハードウェア(機器)の製造や導入に強みを持つ反面、実際のソフトウェア運用やサービス開発には課題を残しているのが実情です。
業界別の状況を確認すると、それぞれ異なる壁に直面していることが分かります。
1. IT・テクノロジー産業:設計や開発補助で先行する一方、戦略的な運用ルールの有無により、企業間で導入度合いの二極化が生じています。
2. 従来の製造業:品質検査や設備保守で検証が進む半面、既存設備のデータ制約や個別工程の多さが壁となり、標準システムの導入に時間を要しています。
3. 小売・サービス業:販促や顧客対応の自動化が拡大していますが、個人レベルの効率化にとどまり、組織全体の事業構造改革には至っていないのが実情です。
経営へのヒント
台湾におけるAI市場の拡大は、日系企業にとって「提供側」と「利用側」の両面で重要な意味を持ちます。
まず事業機会(提供側)としては、台湾が強みとするAI関連の設備製造やサプライチェーンに参入することで、確実な収益の獲得につながります。一方で自社の運用(利用側)においては、深刻化する人手不足への対応策や、業務プロセスの抜本的な改善・効率化の手段としてAIを活用していく視点が不可欠です。
AIを単なるITツールの導入で終わらせず、企業の持続的成長を支える経営戦略として位置づけることが、今後の市場で競争力を維持・強化するための鍵となります。
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