Karte1:日本人夫婦の台湾起業④


コラム 経営 作成日:2007年6月22日

コンサルタントの企業カルテ 日本人夫婦起業

Karte1:日本人夫婦の台湾起業④

記事番号:T00001137


●前回のあらすじ

  吉沢夫妻は、台湾中部の都市である台中で「日式焼き肉屋」を開店したが、開店早々大地震に見舞われ、現金はあと2カ月持たない状況だった…

●吉沢夫妻のSOS

 11月中旬、私は吉沢夫妻から連絡を受け、夫妻と検討の上、以下の対策を立てた。

(1)キャッシュフローの改善
 →知り合いのステーキ屋を通して仕入させててもらうことで、支払いを1カ月後に変えた。

(2)新メニューの開発
→11月中はタレの改善(新たに二種類の特徴ある、つけダレを作る)
→12月末には新メニューを追加

(3)販売促進
 →イベントの実施(499元食べ放題、クリスマスセット、正月イベント)

 作戦は決まったので、あとは作戦を修正しながら、どれだけ高い精度で実行できるかにかかっている。
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●作戦の実行

 499元で提供した食べ放題の企画は大当たりとなった。(上図参照)

 夫妻は「食べ放題イベント」の継続を望んだが、イベントとしての希少価値が無くなれば効果は無くなるので、予定通り二週間で打ち切った。

 そしてすでに準備してあった「クリスマスセット」のDMを発送した。

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 この時、今後販促を行うタイミングは、「売上の一週間の移動平均が、二週間の移動平均を下回る前に実施」と取り決めた。(上図参照)

(小売業・飲食業など、毎日の売り上げが上下する業種は、「売り上げが伸びているのか、減ってきているのか」を把握するために上図のグラフのように移動平均で見るとわかりやすい)

 焼き肉屋でクリスマスというのはおかしいが、この際利用できるものは全て利用することにした。

 クリスマスセットの特徴は、カップルへのプレゼントが付いていることである。
 プレゼントは指輪のセットで、カップルの指輪を合わせると、指輪が「I Love You」と言う仕掛けである。指輪は日本から仕入れ、単価は高くなったが、彼氏にしてみればプレゼント代込みの価格なので割安である。

 店にはツリーを用意し、照明を落とし、キャンドルをテーブルに置くなど、ムードを盛り上げる工夫を凝らした。

 当日は彼氏が「アレを」と言うと、店員が彼氏に渡す演出も行った。

 このイベントはテレビとラジオで報道され、クリスマス後にもセットの要望が殺到したが、全てお断りし、バレンタインデーに再度行うと宣伝した。

 大晦日とお正月は台湾では特別な日ではないが、あえてイベントを行った。

イベントは以下の内容を実施した。

(1)磯辺焼き無料サービス。

(2)鴨南蛮(大晦日)、お雑煮(正月)の期間限定特別メニュー。

(3)新メニューの鍋料理、石狩鍋・鴨鍋の導入。

 季節指数では冬の売り上げは低めだったので、冬に売れて、食材が共有でき、ロースターを活かせる料理として鍋料理を選んだ。

 特に石狩鍋は大ヒットし、ラジオや雑誌・新聞でも大きく紹介された…。

 12月の売上は経営計画の「Case C」を大幅に上回り、1月は「Case B」の水準、2月は「Case A」の水準となったのだった。


それから半年後…


 吉沢夫妻の店は土日やイベントの日には、予約を入れなければ入れない店となり、週に一度はフランチャイズの申込みが来る繁盛店となったのだった…

 もう、夫婦喧嘩はなくなっていた…


●まとめ

 新しいことを始める時、最初から大成功というケースは希である。

 逆に初めから順調過ぎると、必死に努力しなくなるので、大きく伸びることは難しい。

 経営には「上り坂、下り坂、まさかのサカ」3つのサカがあると言われる。

 私自身も会社を3社立ち上げた経験があるが、「まさかのサカ」は、必ず、そして頻繁に起こる。

 起業する際には「まさかのサカ」は必ず発生するものとして捉え、常に経営資源にある程度余裕を持っておかなければならない。

 たとえ最初はベストでなくとも、常に努力し改善を重ねて、日々進化を持続させることが、起業成功のポイントでないだろうか。

ワイズコンサルティング 吉本康志

            (カルテ1 完)
 
※本コラムはフィクションであり、特定の個人及び団体の事実ではありません。

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