コラム 経営 マーケティング 台湾事情 作成日:2026年7月15日
ワイズ独自調査 3分でわかる!台湾市場トレンド記事番号:T00129614
皆様、こんにちは。経営者の「思考時間」をサポートするワイズ独自調査コラムです。
設計・R&Dを中心とする「新竹(竹科)」、精密機械と実装力が融合する「台中(中科)」に対し、今回ズームインする「南部科学園区(南科)」は、世界の半導体サプライチェーンにおいて最先端プロセスの量産を担う核心製造拠点としての役割を果たしています。
南科の規模拡大は顕著であり、2025年度の全区総生産額は前年比34.26%増の新台幣2.97兆元(約15兆円)に達しました。この数値は台湾の3大科学園区の中で首位となっただけでなく、歴史上初めて「竹科と中科の総生産額の合計」を上回る実績となっています。2024年に就任した台湾の頼清徳(らい・せいとく)総統が掲げる「AIアイランド」構想と、国家科学・技術委員会(国科会)が推進する「大南方新矽谷(南部シリコンバレー)計画」の全貌から、南科が備える3つの機能と日系企業への事業機会に迫ります。

【製造機能】最先端プロセスの集積拠点
先端半導体の量産機能が、南部各県市へ急速に拡散・集積しています。
1.台南園区:TSMCの3ナノメートルおよび5ナノメートルプロセス、ならびに先進パッケージングの量産ラインが集中する母体園区です。
2.高雄・楠梓園区:TSMCの建設計画が最先端プロセスへ変更されたことに伴い、南科へと正式編入されました。2025年末の量産開始に向け、「2ナノメートル超先進プロセス工場」の整備が進められています。
3.嘉義園区:AI半導体に不可欠な先進パッケージング技術「CoWoS」の専用工場(2基)が、2028年の量産を目指して建設されています。
【サプライチェーン機能】垂直・水平統合が進む「大南方S廊帯」
台南から高雄を縦断する一大サプライチェーンベルト「半導体S廊帯(Sコリドー)」を形成しています。
1.高雄・路竹園区:独メルク、米インテグリス、華邦電子(ウィンボンド)等が進出し、歩留まりを左右する高機能材料・5G部品の供給網を構築しています。
2.高雄・橋頭園区:後工程(封止・検査)大手の日月光(ASE)や鴻海(ホンハイ)、群聯(ファイソン)が陣取る、半導体後工程・EV・AIoTの拠点としています。
【新興テック機能】次世代産業クラスターの構築
政府は半導体のみならず、AIイノベーションを基盤とした新興分野の育成・生産基地として南科周辺を活用しています。
1.スマートロボット・ドローン産業クラスター
嘉義から屏東までの各園区と工研院(ITRI)南分院を統合し、ロボットおよび無人機(ドローン)の研究開発・量産体制の構築を進めています。減速機やセンサーなど重要部品の域内生産にとどまらず、医療やスマート工場向けロボットの開発、さらには軍用・産業用ドローンのための18カ所の飛行試験場の整備を進めるなど、実証環境の強化を図っています。
2.屏東園区(航空宇宙・新材料)
国科会が台湾初となる国家ロケット発射場として屏東県満州郷九棚村を選定したことを背景に、航空宇宙産業の集積を推進しています。また、宇宙・半導体向けの液体金属冷却材を生産する新工場が建設されるなど、先進材料のフロンティアとしての役割も担っています。
経営へのヒント:大南方エコシステムへの戦略的アプローチ
日系企業は、従来の出張ベースから「現地密着型・伴走体制」への切り替えを検討すべきです。
2ナノ・3ナノの製造現場や先進封止のラインでは、微細なトラブルシューティングや自動化モジュールの調整に迅速な対応が求められます。これまで台北や新竹からの出張で対応していた体制を再考し、台南・高雄エリアにエンジニアリング拠点や応用R&Dラボ、分析品質センターを前線配置すること。顧客の量産現場および新興テック(ロボット・ドローン)開発への技術供与と伴走を徹底することが、長期的な受注とシェア維持に直結します。
トレンド観測室
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722