記事番号:T00107276
<登場人物>
ワイズシステム副総経理 宇都宮武則
本コラムの筆者です。
台湾S電工 山田新一総経理
1978年千葉県生まれ、上場企業S電工の営業企画課長から2018年に総経理として初めての海外駐在。2児のパパ、趣味は車で台湾各地を家族旅行すること。
前回までのお話
https://www.ys-consulting.com.tw/column/l/2189/
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翌日の土曜日、4人は昨日に引き続き会議室へ集合しました。
宇都宮:昨晩はご馳走になり本当にありがとうございました。お2人が台南工場にかける熱い思いが伝わりました。
山田:ありがとうございました。身が引き締まる思いです。
真田:共感いただけたのは嬉しいことです。
古代:終盤は酔いが回って失礼なことを申したのではないかと心配です。
宇都宮:いえいえ、山田総経理としっかりシンクロしていましたよ。
古代工場長と山田総経理が顔を見合わすと、4人で笑いました。
利用者主導でのアプリ開発
台湾L工社が建設中の台南工場の情報システムを打ち合わせています。
「生産管理」や「資材調達」の生産システムはL工社が自社開発したシステムを導入します。その周辺システムをkintoneで開発する計画です。
将来的な利用者主導でのシステム拡張とkintoneのメリットと考え合わせて「実務を行うスタッフ自身に業務アプリの作成を行わせる」方針で進めていきます。
真田協理が作成した想定される業務フローをベースにアプリの草案を描いていきました。必要なアプリの洗い出しには2時間程を要しました。
近場の担仔麺(汁入り麺料理)屋さんで昼食を取ると、真田協理は2つ隣のお茶屋さんに入りました。
真田:少しお待ち下さい。
しばらくすると橙紅色をした紅茶のような飲み物を手にして戻り、配ってくれました。
真田:こちらをどうぞ。
真田:昨晩の会食で山田総経理が台湾各地のお茶を飲み比べるのが趣味だとお聞きしましたので、こちらをぜひ召し上がっていただきたいです。
山田総経理は少し照れながら頭をさすりました。早速、飲んでみると。
山田:おお!これは烏龍茶ですよね!
そのお茶はバラの鮮明な甘い香りと烏龍茶の繊細な香りが封じ込められた逸品でした。「玫瑰紅烏龍茶」という南山製茶師による50年の歷史のある台南を代表するブランドです。
山田:これは絶対お土産に買って帰らなきゃ。
kintoneアプリの定着
会議室に戻るとkintoneの業務アプリ作成の手順やスケジュールの検討に入りました。
1時間ほど検討が進むとスタッフにアプリを作らせる議題になりました。真田協理は尋ねました。
真田:スタッフへアプリ作成を根付かせる良い方法がありますか?
宇都宮:そうですね、お勧めしていますのは社内申請のように全社で使うアプリから利用を始める方法です。
山田:わが社もそうでしたが、新しい事を始めるには少なからず社員たちの抵抗があるものです。ですので運用が難しくなく、使う機会が多い休暇申請や残業申請、それに費用申請、押印申請、出張申請から始めてみました。
真田:どのくらいの期間で運用に慣れましたか?
山田:まあ操作も簡単ですから、1週間くらいでした。1カ月も経つと管理部から他の申請書もアプリ化したいとの声が上がりましたよ。
真田:なるほど。
山田:kintoneを使うことが受け入れられたので、徐々に社員たちにアプリ作成を任せていきました。覚えの良い総務担当の若手社員に集中的に教えて、彼女を軸にアプリを作成できる社員を増やしてゆきました。
真田:それで社員自身がアプリを自由に作り始めましたか?
山田:はい、できるだけ練習できるようにkintoneの「スペース」という場所を用意して自由に作らせました。もちろん初めのうちは1人で完成させるのは難しかったので、彼女が手助けをしましたが、それも1カ月ほどの期間でした。
申請ルールで管理
真田:それでは使えるアプリと使えないアプリが氾濫してしまいませんか?
山田:そこも重要なポイントです。ある程度コントロールするために、正式に業務に使うときには申請と審査のルールを作りました。
真田:その点は私も考えていたのですが、やはりルール化は必要ですよね。
山田:その結果、業務フローを変更したり、新しい業務を初める際には手作業やエクセルの前にkintoneを活用することを考える習慣が付きました。
真田:デジタル化思考ができるようになったのですね。
古代:各部門から軸となる人材を選んでkintoneの講習を受けさせましょう。真田さん、教育訓練もスケジューリングできますか?
真田:わかりました。教育訓練のスケジュールを組んでみます。
システムの開発作業と並行してkintoneの教育訓練も行うことに決まりました。(図A)
図A kintone教育訓練のカリキュラム
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宇都宮武則
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