記事番号:T00001166
●電子部品販売会社S社の状況
武澤氏は3カ月前、本社から「台湾市場のシェア回復」の命を受けS社現地法人の総経理(社長に相当)として赴任してきた。
S社は電子部品メーカーであり、台湾には15年前に進出していた。
しかし、最近は現地製品の低価格品の品質が向上してきたため、シェアダウンが続いていた。
電子部品業界において台湾市場のシェアダウンは世界市場のシェアダウンを意味するため、日本のS社にとって、台湾市場は大事なポジションを占めているのだった……
●社内ヒアリング
武澤総経理は就任早々営業部門の各メンバーに、シェアダウンの根本的原因についてヒアリング調査を行った。
営業部門では「価格が高すぎる」という意見が一番多く、その他には「社内業務が多すぎる」「在庫が足りない」「支払い条件が他社よりも厳しい」などさまざまな答えが返ってきた。
挙げ句の果てには、「営業報奨金が少ないので士気が低い」「営業員の販売能力が低い」など、解決策に直接関係の無い話も加わり、収拾がつかない状況であった。
●武沢総経理の対策
S社の製品はもともと品質・機能には優れているため、価格は他社より高めに設定してあり、他社と同じレベルまで価格を下げるわけにはいかない。
しかし価格もシェアダウンの原因になっていそうなので、ある程度の値下げは必要と武澤総経理は考えていた。
値下げをするには、本社に「どれだけ価格を下げたらどれだけ売り上げが増える」という数字的根拠が求められる。
またシェアダウンが続いているのは価格だけの問題とも思えなかった。
何か一つでも明確な競争要因を見つけだせれば、そこから戦略を創り出すことは可能だと思うのだが……
②に続く
http://www.ys-consulting.com.tw/column/index.php?action=1&tno=1270
ワイズコンサルティング 吉本康志