記事番号:T00001488
前回までのあらすじ
電子部品メーカーS社の台湾法人はS社の部品の台湾市場への輸入販売業務を担っていたが業績は低迷していた。
総経理の武澤氏は2回目の顧客満足度調査の報告を基に、価格以外の競争戦略を検討することになった…
●価格以外の競争戦略の立案
第2回目の顧客満足度調査報告書によると、価格以外に競争要因になり得そうなものは、営業員の専門性」「営業員の提案力」「製品の種類」「納品期間」であった。
コンサルタントからの提案により、「顧客の新製品開発におけるステップ」と「各ステップによる顧客ニーズの変化」「営業マンの提供できるサービス」を調査し列挙し、それらをまとめて戦略まで落とし込んだものが次の図である。
●カスタマーバリューストラテジー
今まで、営業マンはエンジニアに会ってもらえなかったため、バイヤーを中心に営業をしていた。
バイヤーのニーズは図の「生産」と「フォロー」の部分であり、常に「短納期」「低価格」が求められる上、他社の代替えになるため、他社製品のスペックに合わせる必要がある。
そこで、営業マンに日本から情報を貰い翻訳した「エンジニア向け資料」を持って訪問させることにした。
営業活動の重点を「バイヤー」から「エンジニア」に変えることで、以下のメリットが生まれた。
1.製品開発情報が他社より早く入手できるため、短期納品が可能。
2.エンジニアはバイヤーほど価格に厳しくない。
3.新製品設計にスペックインするので、他社がS社の製品に仕様を合わせるので、製品の種類は少なくても構わない。
さらにS社では以前は地域別の営業組織になっていたのを、「顧客業界別組織」(PC業界、携帯業界、家電業界)とすることで、営業マンに担当業界の情報を豊富に持たせることに成功したのだった…
Karte2 おわり
ワイズコンサルティング 吉本康志
※本コラムはフィクションであり、特定の個人および団体の事実ではありません。