Karte4:取引先調査 ②興信所は使えない?


コラム 経営 作成日:2007年8月31日

コンサルタントの企業カルテ 不正取引調査

Karte4:取引先調査 ②興信所は使えない?

記事番号:T00002417

●前回までのあらすじ

 長らく赤字が続いていた日系企業の台湾M社は、中西総経理の赴任2年目となる昨年、ついに黒字転換を果たした。しかし仕入先P社の価格値上げや、伸び頭である代理店G社のボリュームディスカウント要求が原因で利益は伸び悩んでいた。取引条件見直しのために中西総経理はP社とG社を訪問してみると、両社とも実態の無い会社であることが分かった。その日、中西総経理が社用車で帰宅中、何者かに襲われたのだった…

●台湾の裏社会

 運転手の問いかけにリーダーらしき男が中西総経理をにらみながら、「いろいろと詮索しない方が身のためだ。でなければ娘の安全も保証できない」と言ってきた。

 言い終わるとリーダーの合図で、他の男たちも車に乗り込み帰って行った。

 家に帰ると、奥さんから「あなた、先ほど乱暴な中国語で『台湾M社の中西総経理のお宅ですね』という変な電話がありましたよ」と聞かされ、背筋が凍る思いがした。

 なぜかは分からないが、先ほどの男たちは中西氏の「勤務先」「役職」「住まいの電話番号」「住所」「家族構成」などの情報も入手しているのだ。

 ちょうど夏休みの時期だったので、その週内に家族を日本に返すことにした。

●興信所への依頼 

 中西総経理の家族は無事に日本に戻れたが、P社やG社のことを放置しておくわけにはいかなかった。

 そこで興信所にP社およびG社の調査を依頼することにした。

 依頼先は自身の安全にもかかわるので、慎重に検討した結果、台湾で最大の興信所であるC興信所に依頼することにした。

 C興信所を選んだ理由は、日本の大手調査会社T社とも提携しており、日本でT社に台湾の調査を依頼するとC興信所が引き受けていると聞いたからであった。

 中西総経理は調査結果を楽しみに待つことにした。

●台湾の興信所の仕組み

 興信所による調査の結果は、「調査不能」だった。

 そこで他の興信所にも数社依頼してみたが、みな「調査不能」という同じ結果になった。

 後で解ったことだが、台湾の興信所は独時の情報入手ルートがあるわけではなく、クライアントの依頼を外部の調査員に委託し、調査員が被調査者に面談を申し込み、面談結果を興信所報告するだけの仕組みだった。
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 悪質な調査員になると、クライアント名を被調査者に伝え、興信所と被調査者の両方から報酬をもらい、被調査者に有利な報告書を作成する者もいるという。

 中西総経理は、あの男たちの事を想い出し「もし調査員が面談可能で、そんなことをしていたら…」と考えるとゾッとした…

③につづく

※本コラムは事実を基にしていますが、複数の事例を交えてストーリーを展開していますので、個人および団体が特定できないようにしています。 

ワイズコンサルティング 吉本康志

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