記事番号:T00006121
●台北101の経営不振
08年3月13日のワイズニュースで「台北101の経営不振、陳董事長に更迭要求」というニュースが報じられていた。
台北のラウンドマークとして重要な役割を果たしている101ビルだが、政府が45%以上の出資をしているので、我々納税者としても赤字は見過ごせない。
(
http://www.ys-consulting.com.tw/news/index.php?action=1&tno=6072)
●台北101ビルの黒字化は?
「はたして台北101は幾らの売上があれば黒字になるのだろう」と思い、ワイズニュースのデーターを基に損益分岐点分析をしてみることにした。
変動費と固定費の分解は、一般的には「勘定科目法」や「総費用法」で行なう事が多いが、今回は過去4年間のデーターを活用しより精度の高い「回帰分析」により作成してみた。(下図参照)
分析から変動比率が80.67%、固定費が27億7千110万元ということがわかる。(R2値は0.8875と信頼性は高い)
不動産賃貸業にもかかわらず意外なのは、変動比率が高い事である。
また、損益分岐点売上高は142億元で、損益分岐点操業度は156%になる。
つまり黒字化を果たすには、売上を1.6倍にする必要があることがわかる。
しかし入居率は既に75%であり、入居率が100%になったとしても黒字化は遠く及ばない。
また、今年のはじめには高階層のオフィスを3,500元/坪に値上をしたり、TMDの参観開放等の対策を打ち出してはいるものの、それらは多く見積もっても数億元の増収にしかならず、60億元以上の売上が必要な台北101にとっては焼け石に水の状態だ。
単年黒字化を果たす為には入居率は現状を維持したまま平均4,800元/坪以上の賃貸収入が必要であるが、現在の台北の賃貸水準からすると…
●わが社の損益分岐点分析
昨年入社したばかりの会計担当、楊小姐との会話…
楊 :「私も社長のまねをして、回帰分析を使って、わが社の損益分岐点分析をしてみました。」
吉本:「ほ~う、感心感心(^_^)」
楊 :「R2値は0.983と非常に信頼性の高いデータでした」
吉本:「なるほど~、それで?」
楊 :「でもおかしいのは、何度計算しても変動比率が105%なってしまうのです。」
吉本:「それは、わが社は年40%の成長を続けているものの、費用はそれを上回る増加になっているという意味だよ。」
楊 :「なるほど~。それで費用の伸びを分析すると、一番増加率の高いのは人件費でした。」
吉本:「わが社は人材に先行投資しているので、それは仕方ない。その次は何が伸びているの?」
楊 :「社長の交際費…」
吉本:「…… (;^_^A」
ワイズコンサルティング 吉本康志
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