記事番号:T00008042
●奇美電子(CMO)、LED投資を強化
2008年6月9日のワイズニュースは、トップで「奇美電、LED投資を強化」と報じている。発光ダイオード(LED)産業のバリューチェーンは大きく分けて川上から「エピタキシー」、「混晶の結晶」、「パッケージング」と3つの領域に分類される。
奇美電子は、傘下のLEDメーカーである奇力光電科技(チーメイ・ライティング・テクノロジー)のエピタキシー領域で使用するMOCVD装置を現在の6~10台から3年以内に150台まで増やし、今後30~50%の成長が見込まれるLED需要に対応する計画だ。 なお、同領域では台湾が世界で6割以上のシェアを占めている。
●業界関係者の嘆き
同ニュースでは業界関係者の話として、「25台程度しか持たないLEDメーカーが大決心をして生産力を倍増させたところで、大手パネルメーカーは苦もなく100台、150台と注ぎ込む。どうやって対抗しろと言うのか」というコメントを紹介している。
しかし、私から言わせると中小LEDメーカーの嘆きは「自業自得」にしか聞こえない。なぜなら、台湾におけるLED産業は市場規模も大きく、世界における台湾のシェアも高く、政府も重要産業として位置付けている分野だからだ。大手メーカーの参入が容易に予想される分野であるにもかかわらず、中小LEDメーカーは「ランチェスターの法則」における「強者の戦略」を選択している。
LEDのエピタキシー領域は、MOCVD装置の数で決まる業界だ。同じ条件ならば、武器に当たるMOCVD装置を購入すれば、誰でもできるビジネスモデルなので、兵力(資本力)の多い方が勝つことになる。
私が中小LEDメーカーの経営者なら「大手が参入しても意味がない小さな市場規模の分野を見つけ、高いシェアを取る」、「装置メーカーと共同でオリジナルの技術を開発し、特許を取る」、「川下領域と密接な関係を築き、大手ではできない柔軟な製品を提供する」など、「弱者の戦略」を選択するでしょう。
●新型iPhone、強者・弱者の戦略
営業担当の牟田口との会話…
牟田口:「先日発売された新型iPhone見ました?」
吉本:「見たよ。私が旧型を1万7,000元(約6万円)も出して買ったのに、新型は3GでGPS機能等もついているのに199米ドルなんて格安の価格設定で、頭にきているよ」
牟田口:「台湾ではたぶん6,000元ぐらいで発売されるので、僕は絶対に買いますよ。社長はメンツがあるので僕とは同じ物は買えないでしょ?」
吉本:「確かに…」
牟田口:「これが究極の『弱者の戦略』ですね。ハッハッハッハ…\(^0^)/」
吉本:「そうはいかないな。新型iPhoneは安いので会社で購入し、営業担当者に配布しようと思う。GPSがついているので、牟田口君が営業中どこでサボっていても私はパソコンで見ることができる。(^_^)v」
牟田口:「そ、そうきましたか~。う~ん。究極の『強者の戦略』だ…(T_T)」
ワイズコンサルティング 吉本康志
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