コラム

記事番号:T00070394
2017年5月5日15:44

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本コラム執筆の目的

 ゴルフはリカバリーショットが大切だと言われますが、経営も同様です。

 経営者としてリスクに備えるのは当然ですが、どれだけ備えていても想定外の危機は訪れるものです。

 本コラムでは私自身が自社で経験した失敗とそれをどう克服してきたのかを紹介しており、少しでも皆さまの経営のご参考になれれば幸いです。

 

●2006~07年の状況

 家内が会社を離れ、北海道で子育てに専念してもらったことで、会社として投資ができる体制が整いました。

 2006年の末には40万台湾元を投資しホームページの全面リニューアルを行いました。

 本シリーズの第4~5打で紹介している通り「コンテンツマーケティング」「労務顧問会員」と、弊社はWebを活用することで営業活動をほぼゼロにしている会社ですので、Webサイトへの投資は重要といえます。

 そして07年4月には編集長の吉川がメンバーに加わり、新事業である「ワイズニュース」の立ち上げを始めました。

 新事業開始に伴いWebサイトは再度部分的にリニューアルすることになり、100万元近くの投資がかかることになります。

 その他に新事業の立ち上げ費用として別途200万元を準備しました。

 しかし思わぬ落とし穴が…

 

●ワイズニュース、サービス開始

 ワイズニュースとは「その日の台湾の経済ニュースをその日のうちに日本語で届ける」会員制サービスです。

 ニュースで取引実績を作ることで、コンサルティングへの敷居が下がるほか、コンサルティングのクライアントにニュースを購読いただくことで、コンサルティング終了後もクライアントとの関係が維持できます。

 また、コンサルティング業は業績変化が大きいのですが(台湾では顧問契約が成り立ちにくい)、ニュース事業は継続契約が期待できるので安定収益基盤となります。

 07年の6月にはワイズニュース創刊号を発行し、6月中はメール登録いただいた方には購読料無料にしてサービス開始です。

 当時、同業他社の広告には購読料が明記されていなかったのですが、ワイズニュースは1カ月3,000元と価格を明示し、競合の半額で提供しました。

 また配信時間も競合より8時間早くし、セミナーやコンサルティング先でも積極的に紹介していました。

 当初はこれだけのマーケティング活動でそこそこ契約いただけると考えていたのですが、人生それほど甘くはありません。

 6月の無料配信先から7月に有料契約していただけたのは1社のみでした。

 お客さまに理由を尋ねてみると「コンサルのワイズは信用できても、メディアのワイズはまだ信用できない」とのことです。

 よく考えれば当然なのですが、確かにお客さまのおっしゃる通りで、まったく別のサービスなので、同じワイズブランドでもまだ信用がなかったのです。

 また競合のN社は営業担当者による営業活動が想像以上に強く、マーケティングだけでは契約につながらないことも明らかになってきました。

 

●経営危機?

 最初の20社の契約は「ワイズニュースは信用できなくても私を信じて下さい。絶対に損はさせません!」と私が親しい知り合いに営業して契約を頂きました。

 しかし当時はニュース事業の赤字をコンサル事業で穴埋めしている状態だったので、営業活動ばかりもしていられません。

 もともと営業担当者を1人雇ってはいましたが、彼の契約は月0~1件でした。

 新規の営業担当者も募集していましたが、創業10年程度のベンチャー企業にそうそう良い人材が来るわけはありません。

 そうしているうちに半年が過ぎ、当初予定していた200万元の投資予算はとっくに底をつき、気がつけば累計で1,000万元を超える赤字が出ていました。

 総合商社を経営している師匠に相談すると「言っては悪いけど、新規事業を数多く立ち上げてきた私でも3年で利益が出れば大成功。半年で利益を出そうなんて、そもそも考えが甘い」と言われました。

 「なるほど~、おっしゃる通り」と思いましたが、わが社は3年も待っているほど資金的余裕はありません。

 次の日、当時会計を担当していた陳逸如(現在協理)に「社長、会社の銀行残高はあと残り100万元です」と泣きそうな顔で言われました。

 当時のわが社の月間固定費は150万元だったので「もしかしたら駄目かも…」と思い始めていました。


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●ジャンヌ・ダルク登場!

 話は前後しますが、07年12月に社員の紹介で日本人女性Nが営業として入社しました。

 Nは営業経験はまったく無いものの、人当たりがよく、相手の会話を引き出す「誰からも好かれるタイプ」でした。

 Nへの営業の指導は先輩のM(日本人男性)が行っていましたが、Nは年下で先輩のMを立てて素直に指導を受けていました。

 Nは営業センスも良く、入社3カ月目には月に7件の新規契約を貰ってきます。

 私は心の中で「ワイズのジャンヌ・ダルクだ…」と神に感謝しました。

 

●リカバリーの結果

 ジャンヌ・ダルクのNを指導していたMも先輩の立場が脅かされるようになったことで目の色が変わり、入社以来5年間赤字社員だったのが、スーパー営業マンに変身しました。

 加えて08年9月にはリーマンショックによる世界的不況もわが社にとって有利に働きました。

 それまで競合のサービスを無料で提供を受けていると日本人経営者の皆さんは勘違いしていたのが、本社から費用の見直しを指示され、こんなに高いサービスなのかと再認識し、競合の半額の価格を明示していたわが社に乗り換えが進んだのです。

 その結果、2人でコンスタントに月15件以上、多い月は20件以上の新規契約につながりました。

 お陰でわが社は世界的な不況にもかかわらず08年度の売上は前年比144%となりました。

 

●今回の格言

 必死のレベルに入ったら、人は変わる
 幸運も何度もあるとそれは実力 d(^_^o

 

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吉本康志

吉本康志

Executive Consultant

日本の大手コンサルティングファームの駐在員として台湾駐在、1996年11月にワイズコンサルティングを設立。経営者としてコンサルタントとして男としてもまだまだ成長中。