コラム

記事番号:T00069969
2017年4月12日15:28

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本コラム執筆の目的

 ゴルフはリカバリーショットが大切だと言われますが、経営も同様です。

 経営者としてリスクに備えるのは当然ですが、どれだけ備えていても想定外の危機は訪れるものです。

 本コラムでは私自身が自社で経験した失敗とそれをどう克服してきたのかを紹介し、少しでも皆さまの経営のご参考になれれば幸いです。

 

●2000~2001年の状況

 焼肉屋撤退後は「在台日系企業」のみにターゲットを絞り、コンサルティングの営業活動を行っていました。

 当時実感していたのは飲食業への参入は「本業に集中するために必要な失敗」だったのではないかということです。

 なぜなら、遅かれ早かれ興味と自信があった飲食業を一度はやってみようと思ったはずだからです。

 飲食業撤退以来、もう面白そうなビジネスアイデアが浮かんでも、知人から誘われても心が揺らぐことなく「コンサルティング業」に集中することができるようになりました。

 正しい方向に努力をしていると運命(神様?)も応援してくれるようで、今までのアゲンスト(向かい風)が確実にフォロー(追い風)に変わったのを感じていました。

 ある日、某電子部品販売を中心とする企業(A社)から前年1年間の売上を超える金額のご要望を頂き、受注となりました。

 コンサルティングテーマもコンサルタントとしてとてもやりがいのあるテーマだったので、それこそ24時間、夢の中でもA社のことばかりを考えていました。

 それにつれて電子部品関係の他社からの引き合いも頂くようになり、クライアント先は電子部品業界一色となりました。

 

●売上の集中化

 他社からの依頼も増えましたが、それでもA社への売上依存度は高く、全体の6割の売上を占めていました。

 そんなとき、前職のコンサルファームの社長(故・田辺昇一氏)が「吉本さん、売上の依存度が30%を超えるとリスクになるのですよ。売上依存度は30%以下にしなければいけませんよ」と何度もおっしゃっていた言葉を思い出し、ちょっと嫌な予感がしました。

 しかし当時の私は「それは一般論であり、まさかクライアントに『売上を減らして下さい』とでも頼むのか?あり得ない」と自分に言い聞かせ、嫌な予感を振り払っていました。

 自社の業績を考えずにA社のことだけを考えていたので、世界中でまだ誰も考え付かなかったフレームワークや法則もいくつも開発したり発見することができました。

 「もしかして世界最先端のコンサルティングを行っているのかも…」ぐらいにうぬぼれていたのもこのころです。

 実際に「マッキンゼーの10分の1の費用で10倍の成果を挙げます」な~んて偉そうなことを言ってたこともありました…(;^_^A 

 

●ITバブル崩壊

 2001年の初めに日経ビジネスの小さな記事に「ITバブルの崩壊により台湾電子産業の下半期は絶望的な水準になる」との情報がありました。

 クライアント企業に伺っても皆さん「そんな予兆はないよ」とのことでしたし、私が見た情報もこれだけだったので、あまり気にしていませんでした。

 しかし、6月になるとこの予測は徐々に的中し、クリスマス商戦用の引き合いがほとんどない状況になってしまったのです。

 産業構造が電子業界に集中している台湾経済へのインパクトは日本より大きく、コンサルティング案件はプロジェクトが終わったものから全て終了となり、案件はみるみるうちに少なくなっていきました。

 最後に残った案件はA社だったのですが「予想もできなかった不景気なので…」と次のプロジェクトの提案は受け入れられず終了となりました…Orz

 コンサル案件がゼロになり、前職の社長の言葉の意味がやっとハラに落ちました。

 「3割を超えないようにする」とは「大口の売上を落とすのでなく、大口からの売上が3割以下になるように他の売上を伸ばす」という意味だったのです。

 でも実際には私が営業活動をしないと案件は受注できないし、営業活動すると案件が増えてコンサル活動が多くなり、その結果、営業活動ができなくなります。

 「コンサル活動」か「営業活動」のどちらかをゼロにできないだろうか…と悩む日々が続きました…

 

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 「コンサル活動」をゼロにする方法として「他社のコンサルタントの営業代行サービス」も考えましたが、サービス品質に自信を持てないビジネスなら、やらない方がいいと諦めました。

 そこで「営業活動ゼロで案件を受注する方法」を模索し始めたのですが、そんな便利な方法があればこの世のコンサルタント達は苦労しません。

 ちょうどインターネットが普及し終わったころだったので「新しいインターネットというツールを活用し、営業活動をゼロにする」方向性で模索しました。

 その結果見つけ出した方法は「コラムを執筆し、日本人駐在員や経営者の読むメディアに掲載してもらい、そのコラムをホームページやブログに掲載する」というものでした。

 今でいう「コンテンツマーケティング」という手法ですが、当時の日本ではまだこの言葉さえ存在せず「吉本オリジナルのマーケティング手法」でした。

 

●リカバリーの結果

 当時経済ニュースを配信していた「エコノ台湾」という媒体に週一でコラムを執筆させて頂くことができました。

 タイトルは「日本人台湾経営マニュアル」(ちなみに本コラムの元祖ですd(^_^o)とし、当時少なかった「台湾のビジネス事情」や「日本人が陥りやすい失敗談」などを日本語で紹介し、さり気なくわが社のサービスを伝えるようにしたのです。

 こちらから営業に行かなくとも、お客さまから引き合いを頂くようになったので、確実に受注できる案件だけに営業活動を注力することができました。

 しかもお会いしたことがない方でも名刺交換をすると「あなたが有名な吉本さんですか~」と言われるようになりました。

 

●今回の格言

 特定顧客に売上を集中させてはいけない。

 事業を一生懸命やるのは「商売」であり、経営者は「経営」を考えなければならない。

 弱者は強者が着手しない新たな方法にこそチャンスがある。

 

「自分の会社は大丈夫?」

〜情報漏えい、労働争議、与信、BCP…〜
経営者のリスクマネジメントのやり方
https://www.ys-consulting.com.tw/seminar/69441.html

吉本康志

吉本康志

Executive Consultant

日本の大手コンサルティングファームの駐在員として台湾駐在、1996年11月にワイズコンサルティングを設立。経営者としてコンサルタントとして男としてもまだまだ成長中。