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10月に台湾で最も話題になったのはやはり「国片」(台湾映画/台湾の資本と人材によって製作された映画のこと)の『海角七号』でしょう。
「国片」市場に新たな活力
ここ数年、「国片」市場は不況が続き、映画が作られても全く売れないため、プロデューサーや製作会社のほとんどが壊滅状態でした。そうした中、『海角七号』の大ヒットは、市場に新たな血液を注ぎ込んだと言われています。
『海角七号』は8月22日に封切られ、台湾全土に旋風を巻き起こしました。特に9月の台風による休暇や、10月の国慶節(建国記念日)の3連休には、どこの映画館もこの作品を見る恋人や、家族連れなどで込み合いました。
10月28日現在、興行収入は累計で4億4,678万台湾元(約13億4,000万円)に上り、これまでの「国片」の最高記録を塗り替え、独走しています。洋画の興行成績歴代1位は『タイタニック』の7億7,558万元ですが、そのうちこれさえも追い抜くのではないかと予想されています。
日台の恋を描いた青春映画
この映画は、第二次世界大戦終結により日本占領時代が終わった台湾で、日本へ引き揚げる男性教師が台湾人女学生にあてて書いた7通のラブレターを軸にしています。60年の時を越えた日台の男女の恋と、音楽を愛する人々を描いた青春映画で、大スターが出演しているわけでもないのに、登場人物の自然な演技や、心に響く音楽などにひかれ、リピーターが続出しているそうです。
新型伝染病?「海角七号症候群」
空前の大ヒットとなったことで、撮影が行われた台湾最南端の恒春では、ロケ地となった主人公の家にまでファンが押し寄せ、超人気の観光スポットになっています。また、映画で使われた楽器や、出演者の関連商品も既にネットオークションでとんでもない値段にまでつり上がっているそうです。
インターネットでは、この映画を見ると中毒症状が出るといううわさも広がっています。いわゆる「海角七号症候群」と呼ばれる新型の「伝染病」です。
【海角七号症候群とは?】
・発生要因:「海角七号」ウイルス
・感染経路:口コミ、しかも感染力抜群
・感染しやすい世代:0~99歳、男女不問
・症状:
1)インターネットで、無意識に関連する話題、ニュース、音楽、またはブログなどを探し続けてしまう
2)何度も映画館へ見に行かなければ気が済まない
3)あらゆる手段で友人や家族に面白さをアピールし、見るように薦める
4)テーマ曲を知らないうちに口ずさみ、理由もなくテンションが上がる
5)興奮しやすくなり、ひどいときには不眠などの症状まで出る
6)人に会うと必ず「海角七号を見た?」と聞く
・治療法:現在のところ有効なものはなし!
ブログ宣伝で大成功
『海角七号』が成功したのは、「ブログ宣伝」が功を奏したからだといわれています。当初、前売り券+アルバムがセットで発売されたのですが、それがあるブロガーの目にとまり、ブログで紹介されました。その後、情報がものすごいスピートで広がったそうです。洋画の大作のように大金をかけて宣伝したわけではありません。このように少数から大勢に浸透させる方法こそ、今の時代に合った宣伝戦略なのかもしれませんね。
『海角七号』の公式ブログ:
http://cape7.pixnet.net/blog/post/21746004