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ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)での台湾代表の活躍を受けて、台湾プロ野球が活気を取り戻しています。台湾プロ野球リーグは3月23日の開幕から1カ月もたたずに入場者数が30万人を突破し、リーグ発足24年目で最速となっています。WBCでは、大会後にヤンキースとマイナー契約を結んだ王建民や日本ハムの陽岱鋼ら海外組の活躍が目立ちましたが、地元台湾で活躍する選手たちにも熱い声援が注がれました。今回はそんな中から台湾プロ野球の「魂」とでも言うべき存在、WBCではチームのキャプテン(隊長)を務めた兄弟エレファンツの愛称恰恰(チャチャ)、彭政閔(34歳)を紹介します。
ファンに支持訴え
「もう一度、チャンスをください」。
台湾プロ野球リーグは1990年の発足以来、何度も八百長事件が繰り返され、その度に人気を落としてきました。特に09年シーズンオフに発覚した八百長事件では、暴力団の野球賭博に3球団・計14選手の関与が指弾され、米大リーグで台湾人投手として初めて勝利を挙げた曹錦輝、元埼玉西武ライオンズの張誌家、兄弟エレファンツの中心選手の陳致遠、蔡豊安など数多くのスター選手が球界を追われました。
台湾プロ野球への支持を、静かに力強く訴えた彭政閔(YouTubeより)
有名な選手であるほど誘惑が多かったということですが、彭政閔は自分の信念を守って生き残りました。冒頭で紹介した「もう一度チャンスをください」は、10年シーズン開幕に当たって彼が撮影したテレビCMで、台湾プロ野球を立て直したいのでもう一度支持してくれるようプロ野球ファンらに訴えた言葉です。今回のWBCを通じて、この誓いは実現できたようです。
実力と人柄を兼備
彭政閔はWBCでは打順3番で、台中開催の1次ラウンドオーストラリア戦ではホームランを打ち、黙々とダイヤモンドを一周しました。彼のホームランの動画は100本を見ても、同一ポーズ、同一表情です。対戦チームに不快な思いをさせないよう、常に頭を下げて黙って本塁まで走ります。
また、周りのスタッフや選手がけがをしないよう、打撃の後でバットを放り投げないことも彼のモットーです。ボールを打った後はバットをリレー走のバトンのように右手で持って軽く地面に落とすのです。
長い間、兄弟の中心選手として活躍していますが、台湾代表からは今回のWBCで引退する考えのようです(兄弟球団提供)
こうした礼儀正しい性格に加えて、台湾リーグで5度の首位打者を獲得するなど実力は高く、打撃能力は地球人を超える「火星人」と称されています。中華職業棒球連盟(CPBL)のオールスターゲームには、05年から12年まで8年連続でファン投票での最多得票で選出されたほどの人気を誇ります。
トップ選手でありながらおごり高ぶることはなく、お年寄りの介護施設訪問やへき地の学校でボランティアでの野球教室開催など、公益活動にも積極的に取り組んでいます。今回WBCの出場報酬の3分の1も台湾の三級棒球(少年、青少年、青年野球)に寄付しました。こうした人柄が称賛される恰恰は、これからも自分の信念に従って台湾プロ野球の発展に力を尽くしてくれることでしょう。
段婉婷
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